第16話:里見家の投資と競馬観戦

文字数 1,765文字

 2005年、大きな株の事件が、起きた。2月8日、ライブドアは、ニッポン放送株の35%を取得したと発表。一時は過半数の株式を買い占め、同放送が筆頭株主となるフジテレビ買収も画策したが、結局、全株式を手放す代わりにフジと資本・業務提携することで和解した。

 10月13日には楽天がTBS株の15%強を取得した上で経営統合を提案。だが、TBSの猛反発を招き、これをいったん撤回し、和解協議に入ることで11月30日に両社が合意し、一時休戦が成立した。

 小泉純一郎首相が「改革の本丸」として郵政民営化法案は、自民党内から造反が相次ぎ衆院を通過したが、8月8日の参院本会議で否決された。首相は衆院を解散し郵政民営化の是非を争点にした。

 衆院選で自民党執行部は造反議員を公認せず、党公認、無所属の「刺客」候補を送り込んだ。9月11日投開票の結果、都市の無党派層の支持を獲得した自民党は296議席を得て圧勝、公明党と合わせて327議席と与党が3分の2を上回った。

 郵政民営化法案は選挙後の特別国会に再提出され衆議院、参議院を合わせて、たった6日間の審議で成立させた。衆院選による与党の圧勝で、東京株式市場は構造改革の進展を期待する買いが集まり、連日のように高値を更新。

 インターネットを通じた個人投資家の取引が急増、12月9日の東証の売買代金は初めて4兆円を突破。11月1日には東証のシステムダウンが半日に及んだが、取引開始後は急伸した。

 2006年、長男の和宏は、東京都庁に就職したいと話した。その理由は、転勤がない事と勤務時間が短いと話し出世には興味がないと語った。そこで2006年、始めて、俊子さんと里見の両親の3人で、冬の豪華グアム旅行に出かけた。

 里見の両親も喜んでくれ、また、海外旅行に行きたいなと語った。そこで、同年夏もバンクーバーへ行き、ビクトリアのブッチャード・ガーデンで、美しい花を観賞し多くの写真をとってきた。

 英国やエジプトなど世界各地で同時爆弾テロが相次ぎ、多数の犠牲者が出た。いずれも手口から、テロ組織アルカイダや同組織と関係のあるイスラム過激派の犯行とみられる。ロンドンでは7月7日、地下鉄と2階建てバスを標的とした4件の爆弾テロで56人が死亡。

 英国では主要国首脳会議が、開かれており、議長役のブレア首相は急きょロンドンに戻った。エジプトのシャルムエルシェイクでは同23日、ホテルなどで爆弾テロが起き、88人が死亡。

 インドネシア・バリ島でも10月1日、レストランなど3カ所で爆発が発生し、日本人1人を含む20人余が命を落とした。11月9日には、ヨルダン・アンマンのホテル3カ所で起きた同時爆弾テロで59人が死亡した。

 2007年8月16日、埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で気温が40.9度まで上昇。1933年7月25日に山形市で記録した40.8度を上回り、国内観測史上最高気温が74年ぶりに更新された。

 8月は全国的に猛暑が続き熱中症により救急車で病院に運ばれる人や死亡者が続出。気象庁では、太平洋赤道域の中央部から東の海面水温が平年より低下するラニーニャ現象。

 北半球の偏西風の蛇行の影響で太平洋高気圧の勢力が非常に強まったのが原因。同庁は地球温暖化と直接の関連はないとの見方を示すが、日本の夏の平均気温は過去100年間、上昇傾向にある。

 2007年、米国で低所得者向け高金利型「サブプライム」住宅ローンの焦げ付きが多発しこれをきっかけに世界の金融市場が大きく動揺した。リスクに対する警戒感が急速に高まり、8月以降、信用の収縮、株価急落、ドル安などが一気に加速。

 ローン債権を証券化した金融商品に投資していたヘッジファンドや金融機関は、相場の急落で巨額の損失を計上、資金繰り難に直面し、一部は破たんに追い込まれた。

 米国や欧州の中央銀行は市場に巨額の資金を供給。米国は利下げ、英国は住宅ローン会社への緊急融資に踏み込み、事態の沈静化を図った。そのためか、実体経済に大きな影響はないが、サブプライム問題で2008年の米国、欧州、日本の景気見通しが、下方修正された。

 翌、2007年の秋、長男の里見和宏は、東京都庁を受験して合格した。来年2008年4月から、中野の実家から新宿の都庁に30分かけて出勤することになる。
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