第1話

文字数 2,113文字

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「ねえ、ママー。頭痛が痛いよ」

「だから、何度も言っているでしょ。

『頭痛がする』とか

『頭が痛い』とかって言いなさいって」

ママは掃除機をビュービュー鳴らしながら

そう言った。

リビングが終わると、

スリッパの音をパタパタさせながら

隣の寝室に行ってしまった。

「あっ、そうそう。

昨日、小児科の先生にもらったお薬は

ちゃんと飲むのよ」

掃除機おばさんは

ボクの言うことなんか全然聞いてくれない。

でも、ホントに頭痛が痛いんだもん。

小児科の先生はただの風邪だなんていうけど

頭のてっぺんに

頭痛が貼り付いていて痛いんだ。

ボクだってこんなの初めてだよ。

ベランダに立って

独り言のようにそう呟いた。

誰もボクの言うことなんか

聞いてくれないんだと思ったら

口がへの字になってきて

鼻と目からぽろぽろと…。

その時だった。

空からすごく大きいダイヤが

クルクルと回転しながら下りてきて

ボクんちの庭に着陸した。

見上げると

てっぺんは2階の天井より高かった。

その物体は無数の光線を出し始めた。

次第に目の前が光で埋め尽くされたので

ボクは眩しくて見ていられなかった。

しばらくすると

光は少しずつ弱くなってきた。

ダイヤの中を見ると

小さな女の子が膝を抱えて座っていた。

透き通るような肌をした女の子は

ボクの目をじっと見て

にっこりとほほ笑んだ。

ボクは女の子の目に誘われるように

フラフラと裸足のまま庭に出た。

女の子はゆっくりと立ち上がり

ボクにウインクすると

すぐボクの目の前に瞬間移動した。

そして、ボクの両手を取り

自分の両手で柔らかく包んだあと

天空を仰いで大きく息を吸った。

次の瞬間

何が起こったんだか分からなかったけれど

気が付くとずっと下の方にボクの家が見えた

女の子はボクの目を覗き込んだ。

そしたら、ふたりともゆっくりと回り始めた

すぐそばに

クマさんのぬいぐるみが浮いていた。

「いっしょに回ろうよ」と言うと

クマさんはボクたちのところまで飛んできて

三人で空中回転した。

次第に回転が速くなってきて

頭の中がグルグルとなってきたら

三人ともシャーベットになっていた。

もう一人のボクが

それを両手でつかんで夢中で食べ始めた。

シャーベットに夢中になっていると

真っ赤な鎧と兜で身をかためた

ローマ兵がやってきて

ボクににっこりとほほ笑んだ。

「この剣をあげるから

シャーベットを一口ちょうだい」

「やだよ」

と断ると、大きな剣でボクの胸をグサリ。

「痛い」


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ここからは、パソコン向けです

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「ねえ、ママー。頭痛が痛いよ」

「だから、何度も言っているでしょ。『頭痛がする』とか、

『頭が痛い』とかって言いなさいって」

ママは掃除機をビュービュー鳴らしながらそう言った。

リビングが終わると、スリッパの音をパタパタさせながら隣の寝室に行ってしまった。

「あっ、そうそう。昨日、小児科の先生にもらったお薬はちゃんと飲むのよ」

掃除機おばさんは、ボクの言うことなんか全然聞いてくれない。

でも、ホントに頭痛が痛いんだもん。

小児科の先生はただの風邪だなんていうけど、頭のてっぺんに

頭痛が貼り付いていて痛いんだ。

ボクだってこんなの初めてだよ。

ベランダに立って独り言のようにそう呟いた。

誰もボクの言うことなんか聞いてくれないんだと思ったら、

口がへの字になってきて鼻と目からぽろぽろと…。

その時だった。空からすごく大きいダイヤがクルクルと回転しながら

下りてきてボクんちの庭に着陸した。

見上げるとてっぺんは2階の天井より高かった。

その物体は無数の光線を出し始めた。

次第に目の前が光で埋め尽くされたので、ボクは眩しくて見ていられなかった。

しばらくすると光は少しずつ弱くなってきた。

ダイヤの中を見ると、小さな女の子が膝を抱えて座っていた。

透き通るような肌をした女の子は、ボクの目をじっと見てにっこりとほほ笑んだ。

ボクは女の子の目に誘われるように、フラフラと裸足のまま庭に出た。

女の子はゆっくりと立ち上がり、ボクにウインクすると、すぐボクの目の前に瞬間移動した。

そして、ボクの両手を取り自分の両手で柔らかく包んだあと、天空を仰いで大きく息を吸った。

次の瞬間、何が起こったんだか分からなかったけれど、気が付くとずっと下の方にボクの家が見えた。

女の子はボクの目を覗き込んだ。

そしたら、ふたりともゆっくりと回り始めた。

すぐそばにクマさんのぬいぐるみが浮いていた。

「いっしょに回ろうよ」と言うと、

クマさんはボクたちのところまで飛んできて、三人で空中回転した。

次第に回転が速くなってきて、頭の中がグルグルとなってきたら、

三人ともシャーベットになっていた。

もう一人のボクが、それを両手でつかんで夢中で食べ始めた。

シャーベットに夢中になっていると、真っ赤な鎧と兜で身をかためた

ローマ兵がやってきてボクににっこりとほほ笑んだ。

「この剣をあげるからシャーベットを一口ちょうだい」

「やだよ」

と断ると、大きな剣でボクの胸をグサリ。

「痛い」

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