第2話

文字数 2,419文字

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「痛い」

その瞬間、ボクは仰向けに倒れていた。

手のひらに

なんだかサラサラとしたものを感じる。

見ると砂だった。

ボクは砂の上に寝ているんだ。

しばらくボンヤリと横になったまま

どうして

空の上からここに来たんだろうと考えた。

空を見上げると真っ青だったけど

太陽がどこにもない。

だから、暑くないのかなあ。

でも寒くもないし不思議な感じだなあ。

胸の辺りが痒いので

手を持っていくと何かに当たった。

見ると剣が刺さっている。

剣を思い切り抜いたけど

ちっとも痛くないし、一滴の血も出ない。

やがて剣はぐにゃりと垂れて

しゅーっと水蒸気をあげながら

消えてしまった。

「変なのぉ」

僕は胸のあたりを両手で撫でてみたが

やっぱり痛くなかったし

血も出ていなかった。

「今のは何だったんだろ」

首をかしげて考えたけど

ちっとも分からないので

諦めて遠くを見た。

ゆっくりと起き上がってみる。

裸足が砂にズブリと沈む。

辺りを見回した。

どこまでも砂の山と谷が続いている。

「なんだか砂漠みたいだなあ」

右のほうの低い砂山の向こうに

木が何本かあるのが見えた。

あれがオアシスっていうところなのかな。

教科書で写真を見たことがある。

とりあえず

木々があるところに行ってみることにした。

歩き出したけど

砂に足を取られて歩きにくかった。

足に体重を乗せるとズブッと沈んでしまう。

次の足を出すと同時に

エイャって掛け声をかけて足を抜いてみた。

掛け声をかけながらだと

少し歩くのが楽になった。

エイヤッ、エイヤッ、

って掛け声をかけているうちに

木々のそばに来た。

どうも並木道みたいだ。

歩道があって

両側に木が並んでいるんだから

きっとそうだ。

歩道に上がると

ボクはしゃがんで葉っぱのない高さから

歩道の先のほうを見てみた。

並木道は真直ぐではなく

蛇のようにくねくねと意味もなく

右へ左へとカーブを繰り返している。

砂が高く盛り上がっているところでは

緩やかな上り坂になり

砂がへこんでいるところでは

下り坂になっている。

どこで始まってどこまで行くんだろう。

振り返って後ろのほうに目をやったけど

やっぱり道はクネクネと

右や左に行ったり来たり

上ったり降りたりだ。

右を見ても、左を見ても

その繰り返しが果てしなく続いていた。

足の裏がザラザラするので

座って両足にくっついた砂を

両手でパタパタ払った。

砂は軽くて乾いていたので

あっさりと取れた。

膝を抱えて座り空を見上げる。

木々達は曲がりくねった道の両側に

規則正しく整列している。

そして葉っぱをたくさん乗せているので

辺り一面が緑色に輝いている。

そのとき

足の裏がベタベタすることに気がついた。

歩道の石を触ってみると

それは石ではなく飴だった。

ひとつ抜いて食べてみた。

「うん、甘くってすごくおいしい。

なんだか、とてもしあわせ」

ボクはうきうきして歩き始めた。


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ここからは、パソコン向けです

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「痛い」

その瞬間、ボクは仰向けに倒れていた。

手のひらに、なんだかサラサラとしたものを感じる。

見ると砂だった。ボクは砂の上に寝ているんだ。

しばらくボンヤリと横になったまま、どうして空の上からここに来たんだろうと考えた。

空を見上げると真っ青だったけど、太陽がどこにもない。

だから、暑くないのかなあ、でも寒くもないし不思議な感じだなあ。

胸の辺りが痒いので手を持っていくと何かに当たった。

見ると剣が刺さっている。

剣を思い切り抜いたけど、ちっとも痛くないし一滴の血も出ない。

やがて剣はぐにゃりと垂れてしゅーっと水蒸気をあげながら消えてしまった。

「変なのぉ」

僕は胸のあたりを両手で撫でてみたが、やっぱり痛くなかったし、血も出ていなかった。

「今のは何だったんだろ」

首をかしげて考えたけどちっとも分からないので、諦めて遠くを見た。

ゆっくりと起き上がってみる。裸足が砂にズブリと沈む。

辺りを見回した。どこまでも砂の山と谷が続いている。

「なんだか砂漠みたいだなあ」

右のほうの低い砂山の向こうに木が何本かあるのが見えた。

あれがオアシスっていうところなのかな。

教科書で写真を見たことがある。

とりあえず、木々があるところに行ってみることにした。

歩き出したけど、砂に足を取られて歩きにくかった。

足に体重を乗せるとズブッと沈んでしまう。

次の足を出すと同時にエイャって掛け声をかけて足を抜いてみた。

掛け声をかけながらだと少し歩くのが楽になった。

エイヤッ、エイヤッ、って掛け声をかけているうちに木々のそばに来た。

どうも並木道みたいだ。

歩道があって両側に木が並んでいるんだからきっとそうだ。

歩道に上がると、ボクはしゃがんで葉っぱのない高さから歩道の先のほうを見てみた。

並木道は真直ぐではなく、

蛇のようにくねくねと意味もなく右へ左へとカーブを繰り返している。

砂が高く盛り上がっているところでは緩やかな上り坂になり、

砂がへこんでいるところでは下り坂になっている。

どこで始まってどこまで行くんだろう。

振り返って後ろのほうに目をやったけど、やっぱり道はクネクネと

右や左に行ったり来たり、上ったり降りたりだ。

どっち側もその繰り返しが果てしなく続いていた。

足の裏がザラザラするので、座って両足にくっついた砂を両手でパタパタ払った。

砂は軽くて乾いていたのであっさりと取れた。

膝を抱えて座り、空を見上げる。

木々達は曲がりくねった道の両側に規則正しく整列している。

そして葉っぱをたくさん乗せているので、辺り一面が緑色に輝いている。

そのとき足の裏がベタベタすることに気がついた。

歩道の石を触ってみると、それは石ではなく飴だった。

ひとつ抜いて食べてみた。

「うん、甘くってすごくおいしい。なんだか、とてもしあわせ」

ボクはうきうきして歩き始めた。


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