第八話「少年」

文字数 511文字

魂を拾った婆は、表情を取り戻した。
拾った魂は白くなり、ほんのり光っていた。
「この魂をどこにしまっておこう。私の宝物なのだから、大事にしまっておかないと」
「いやでも、自由にさせておくのが、この魂のためにもいいかもしれない。」
次の瞬間、婆は温もりに気付く。
「なんて温かな……」
「これは情熱というより、抱擁してくれるような愛情だわ」
婆は感動して一粒の涙を落とした。
落とした涙は魂の方に落ちていって、魂に吸収されるように、涙は魂の中に入っていった。
一粒の魂は、モゴモゴと動き始める。
魂の形は丸や三角、四角になる。それから魂の形は花の形になったり、木になったり、
ネズミになったり、鳥になったり、犬になったり、まるで魂は迷っているようだった。

婆は驚きながら大きな声で言った。
「やっぱり自由にさせておくべきだったんだ!」
「でもどうせなら、私は孫が欲しいね」
魂はハッと驚いたように、一瞬膨張し、同時に光を発した。

魂はまたモゴモゴし始め、うずくまった赤ちゃんのような形になり、
それは少しずつ大きくなり、やがて少年の形になっていった。

ただ白く発光していたそれは、だんだんと色味を帯びてきて、
婆の前に立っているのは、もう本当の一人の少年だった。
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