第2話

文字数 427文字

そのとき、電話のコールがなった。



あいつからだ。そうだ、友人と会う約束をしていたんだった。予定を思い出し、喫茶店へと向かった。

喫茶店のドアを開けると、カランコロンと懐かしい音がした。

友人が奥のテーブルに座っている。

久しぶりに会う友人は、どこか他人のように見えた。



若手社員だったころ、私たちは、よきライバルだった。

毎日がむしゃらに働いた。

その仕事ぶりが認められ、いつしか私か彼がいずれ社長になるのだろうと言われていた。



しかし、あるとき突然、彼は会社をやめた。

自分のやりたいことがみつかったと田舎へひっこし、農業をはじめたのだ。

彼の作っている野菜は、どうやらオーガニックなどといわれ、健康志向の人たちに人気らしい。

しかし質にこだわっているために、大量生産もできず、ずっと小さな商売をつづけている。



一方、私は社長にのぼりつめた。

彼とこんなにも人生に差がついてしまうとは、思いもよらなかった。

まじめでとてもいいやつだが、所詮えらくはなれない人間だったのだろう。


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