抗癌剤治療。そして、現在。
文字数 2,442文字
最後はざっくり、纏めていこうと思います。
再発予防治療の一環として、術後補助化学療法──簡単にいうと、『抗癌剤治療』を行いました。
日本の医療ガイドラインとして、リンパ節に転移が認められた人に行われるのが抗癌剤治療ですが、転移がなかったとしても、医療機関から推奨される事が多いです。これは、手術で幾ら患部を取り除いたといっても、目に見えない転移箇所が残っている可能性を拭えないからです。
私の場合、『TS-1』という内服薬を用いました。
一日二回、四錠ずつ四週間飲んで、二週間休む。この繰り返しで半年間服用しました。
抗癌剤といえば、直ぐに副作用のイメージを持つと思いますが、もちろん有ります。副作用。
①消化器症
食欲不振。嘔気。味覚障害。下痢。便秘。
②血液関連
白血球減。血小板減。貧血。
③皮膚粘膜
皮膚の黒ずみ。湿疹。口内炎。爪の変形、眼のかすみ。目やに。脱毛。等々……
これらの副作用には、個人差がでます。軽い症状で済む人もいれば重症化する人もいる。
私の場合、幸いにも、軽めの食欲不振と味覚障害の二つの症状しか現れませんでした。
そんなに強くない錠剤タイプの抗癌剤だったから、というのもありますが、本当に幸いでしたね。
抗癌剤治療を半年間で終え、同時進行で行っていたのが、三ヶ月に一回の血液検査。年一回のCT検査と胃カメラ検診です。
あんなに苦手だった胃カメラも今では然程抵抗がなくなり、幸い一度も再発は認められていません。
あれから四年が経過した今、こうして小説だのエッセイを書いていられるのも、
(色々紆余曲折あったとはいえ)
手術をしてくれた担当医師。医療機関のスタッフ。支えてくれた家族と周りの人達の力添えあってのことだと受け止めています。
どんなに感謝をしても、し足りないほどですね。
癌は確かに恐ろしい病気です。
けれど、戦って勝てない病気ではありません。
なにより大事なのは早期発見です。
体調不良を甘く見ないでください。
定期健診も、積極的にうけてください。
あなたのため。
そして、友人や家族のために。
全ての人達が健康でありますことを祈り、本エッセイを閉じさせて頂きます。
ご清聴、ありがとうございました。
──────キリトリセン──────
そしてここから巻末付録。
『胃カメラを楽に飲むコツ』を私なりの考えで伝授します。
先ず最初に鼻から入れる胃カメラ。
はっきりいって苦しくないです。初めての検診とかあくまでも検査だけ、というのであれば、圧倒的にこちらをオススメします。
ただし鼻胃カメラはサイズが小さい分、負担は軽減されるものの、大きな病巣を切除することはできないというデメリットがあります。また、鼻の通りが狭い場合や抗凝固薬や抗血小板薬などを服用している(鼻出血が起きた場合に血が止まりにくい)場合は検査できない。と断られるケースもあります。ようは、血液をサラサラにする薬ですかね?
麻酔薬を鼻から流す。鼻の通りをよくする薬を流す。喉に麻酔液をスプレーする。
といった事前準備終えて、カメラを鼻から挿入します。鼻の一番奥のところを通過するとき、一度強い痛みがあります。イメージとしては、インフルエンザ検査の麺棒突っ込まれる奴、あれの少し楽な感じでしょうか?
その後は喉を通る際にちょっとした引っ掛かりと違和感はありますが、オエっとは全然なりません。普通に会話もできます。
一方で口から入れる一般的な胃カメラ。
こちらは、表面麻酔の液体をのどの奥の方に約五分ためて麻酔を効かせます。
マウスピースのような物を口に咥え、横向きで寝台の上に寝て背を丸めた体勢で受診します。カメラのサイズは鼻の胃カメラより太いし麻酔をしているとは言え喉を通過しますので、どうしても吐き気をともないます。
じゃあ、メリットなくない? と思われそうですが、そんなことはありません。
鼻の胃カメラと比較すると、
①映像の解像度が高い (最近は鼻胃カメラの性能もあがっているようですが)
②大きな病巣の切除ができる
③異常所見箇所の精密検査ができる
ざっくり言うと検査効率が高い、ということです。特に重症化している場合は選択の余地がないでしょう。
──でも、やっぱり苦しい! 怖い!
そこで私なりに見つけたコツをいくつか。
①のどの麻酔をしっかり頑張る
もうね、これが全てという感すらあります。
麻酔液は苦いし溜めておくのは大変です。けど、頑張ってなるべく喉の奥の方、それこそ飲んでしまいそうな瀬戸際の箇所に頑張って五分ためてください。
唾がたまってきますが、上手く唾だけ飲み込むか我慢しながら、五分と言わず六分溜めたかな? くらいの勢いで頑張って時間一杯溜めてください。
確かに苦しいですが、ここで麻酔の掛かり方が中途半端になると、続く検査で死ぬ思いをすることになるのですから!
②呼吸
私の場合ですが、「力を抜いて気道を確保し、鼻からゆっくり呼吸してください」といつも言われます。
無理です!
鼻から呼吸をしようとすると、喉の開きが疎かになるんでしょうか? 直ぐに気道とカメラが接触してオエっとなります。
なので私は、だらしなく口を開けて呼吸してます。
たぶんこっちの方が楽なはず? どちらがいいか、試してみてください。
③姿勢
背中を軽く丸め、力を抜いてリラックスしましょう。
内視鏡の映像、見ててもいいですよ? と言われるんですが見ませんね (きっぱり)
目を閉じて、楽しいことだけ考えます。
時間はね、だいたい十分くらいでしょうか。
長く感じられますが、終わったあとは不思議な達成感がありますよ。 (せやろか?)
などとこうやって書いてきましたけどね。やっぱり苦しいのは苦しいですよ。でも、麻酔さえしっかり効かせられれば、案外大丈夫です。
ほら? 受診したくなってきたでしょ? 週末は早速、お近くの医療機関にゴーです。
(このご時世、不要不急の検査って躊躇われますけどね)
~おしまい~
再発予防治療の一環として、術後補助化学療法──簡単にいうと、『抗癌剤治療』を行いました。
日本の医療ガイドラインとして、リンパ節に転移が認められた人に行われるのが抗癌剤治療ですが、転移がなかったとしても、医療機関から推奨される事が多いです。これは、手術で幾ら患部を取り除いたといっても、目に見えない転移箇所が残っている可能性を拭えないからです。
私の場合、『TS-1』という内服薬を用いました。
一日二回、四錠ずつ四週間飲んで、二週間休む。この繰り返しで半年間服用しました。
抗癌剤といえば、直ぐに副作用のイメージを持つと思いますが、もちろん有ります。副作用。
①消化器症
食欲不振。嘔気。味覚障害。下痢。便秘。
②血液関連
白血球減。血小板減。貧血。
③皮膚粘膜
皮膚の黒ずみ。湿疹。口内炎。爪の変形、眼のかすみ。目やに。脱毛。等々……
これらの副作用には、個人差がでます。軽い症状で済む人もいれば重症化する人もいる。
私の場合、幸いにも、軽めの食欲不振と味覚障害の二つの症状しか現れませんでした。
そんなに強くない錠剤タイプの抗癌剤だったから、というのもありますが、本当に幸いでしたね。
抗癌剤治療を半年間で終え、同時進行で行っていたのが、三ヶ月に一回の血液検査。年一回のCT検査と胃カメラ検診です。
あんなに苦手だった胃カメラも今では然程抵抗がなくなり、幸い一度も再発は認められていません。
あれから四年が経過した今、こうして小説だのエッセイを書いていられるのも、
(色々紆余曲折あったとはいえ)
手術をしてくれた担当医師。医療機関のスタッフ。支えてくれた家族と周りの人達の力添えあってのことだと受け止めています。
どんなに感謝をしても、し足りないほどですね。
癌は確かに恐ろしい病気です。
けれど、戦って勝てない病気ではありません。
なにより大事なのは早期発見です。
体調不良を甘く見ないでください。
定期健診も、積極的にうけてください。
あなたのため。
そして、友人や家族のために。
全ての人達が健康でありますことを祈り、本エッセイを閉じさせて頂きます。
ご清聴、ありがとうございました。
──────キリトリセン──────
そしてここから巻末付録。
『胃カメラを楽に飲むコツ』を私なりの考えで伝授します。
先ず最初に鼻から入れる胃カメラ。
はっきりいって苦しくないです。初めての検診とかあくまでも検査だけ、というのであれば、圧倒的にこちらをオススメします。
ただし鼻胃カメラはサイズが小さい分、負担は軽減されるものの、大きな病巣を切除することはできないというデメリットがあります。また、鼻の通りが狭い場合や抗凝固薬や抗血小板薬などを服用している(鼻出血が起きた場合に血が止まりにくい)場合は検査できない。と断られるケースもあります。ようは、血液をサラサラにする薬ですかね?
麻酔薬を鼻から流す。鼻の通りをよくする薬を流す。喉に麻酔液をスプレーする。
といった事前準備終えて、カメラを鼻から挿入します。鼻の一番奥のところを通過するとき、一度強い痛みがあります。イメージとしては、インフルエンザ検査の麺棒突っ込まれる奴、あれの少し楽な感じでしょうか?
その後は喉を通る際にちょっとした引っ掛かりと違和感はありますが、オエっとは全然なりません。普通に会話もできます。
一方で口から入れる一般的な胃カメラ。
こちらは、表面麻酔の液体をのどの奥の方に約五分ためて麻酔を効かせます。
マウスピースのような物を口に咥え、横向きで寝台の上に寝て背を丸めた体勢で受診します。カメラのサイズは鼻の胃カメラより太いし麻酔をしているとは言え喉を通過しますので、どうしても吐き気をともないます。
じゃあ、メリットなくない? と思われそうですが、そんなことはありません。
鼻の胃カメラと比較すると、
①映像の解像度が高い (最近は鼻胃カメラの性能もあがっているようですが)
②大きな病巣の切除ができる
③異常所見箇所の精密検査ができる
ざっくり言うと検査効率が高い、ということです。特に重症化している場合は選択の余地がないでしょう。
──でも、やっぱり苦しい! 怖い!
そこで私なりに見つけたコツをいくつか。
①のどの麻酔をしっかり頑張る
もうね、これが全てという感すらあります。
麻酔液は苦いし溜めておくのは大変です。けど、頑張ってなるべく喉の奥の方、それこそ飲んでしまいそうな瀬戸際の箇所に頑張って五分ためてください。
唾がたまってきますが、上手く唾だけ飲み込むか我慢しながら、五分と言わず六分溜めたかな? くらいの勢いで頑張って時間一杯溜めてください。
確かに苦しいですが、ここで麻酔の掛かり方が中途半端になると、続く検査で死ぬ思いをすることになるのですから!
②呼吸
私の場合ですが、「力を抜いて気道を確保し、鼻からゆっくり呼吸してください」といつも言われます。
無理です!
鼻から呼吸をしようとすると、喉の開きが疎かになるんでしょうか? 直ぐに気道とカメラが接触してオエっとなります。
なので私は、だらしなく口を開けて呼吸してます。
たぶんこっちの方が楽なはず? どちらがいいか、試してみてください。
③姿勢
背中を軽く丸め、力を抜いてリラックスしましょう。
内視鏡の映像、見ててもいいですよ? と言われるんですが見ませんね (きっぱり)
目を閉じて、楽しいことだけ考えます。
時間はね、だいたい十分くらいでしょうか。
長く感じられますが、終わったあとは不思議な達成感がありますよ。 (せやろか?)
などとこうやって書いてきましたけどね。やっぱり苦しいのは苦しいですよ。でも、麻酔さえしっかり効かせられれば、案外大丈夫です。
ほら? 受診したくなってきたでしょ? 週末は早速、お近くの医療機関にゴーです。
(このご時世、不要不急の検査って躊躇われますけどね)
~おしまい~