第5話

文字数 323文字

カレーが運ばれてきた。見た目も香りもまあ、悪くない。ひとくち、食べた。
予想を裏切って、かなり旨い。いいスパイスを使っている。
カレー専門店にはよく行くので、俺にはすぐ分かった。
ナンも、ちぎって口に入れる。もちもちして、小麦粉のいい香り。

「旨いですね」
「ありがとうございまあす!」

男はかなり嬉しそうに揉み手をしながら言った。彼が店主らしかった。
やたら発声がいい。見た目、38歳の俺とそう変わらないように見える。
俺と同世代か。

「俺の株式会社の系列店じゃないんですか」
「違います。堀江のカレー専門店のインド人の店長に弟子入りして、3年、修行したのです。その店と同じスパイスを使わせてもらっています」

店名はパクリか。いいのか?
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