(二)-4

文字数 279文字

 私は一回深呼吸した。「パパ」はここにいるはずだ。私をほったらかしにしている「パパ」に会うのは久しぶりだった。
 「パパ」が普通に父親であったときは別にドキドキなんてしなかった。よその子たちが父親を好きなのと同じように、私も父親が好きだった。
 でもママと別れてからの「パパ」は好きじゃない。父親が父親でなくなってしまったからだ。だから、正直、直接会いたくない。というか会うのが嫌。本当に会ってもいいのかと思う。会わない方がいい気がする。
 でも三者面談には出て欲しい。たとえ「パパ」が父親ではなかったとしても。生物学的には、「パパ」は私の父親なのだから。

(続く)
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