第10話
文字数 313文字
おっぱいが飲みたいなどと思ったのは赤ちゃんのとき以来ではないかな。それに穴で熟女蜘蛛と過ごした時間は30分位だったろうに、物理的には10年以上は経過したようだった。穴で熟女蜘蛛と話していたときから何かがおかしいとは思っていたのだ。味噌ラーメンをすするカマキリも、オレが穴に落ちる前に見た連中とは違う顔ぶれなのだろうが、とにかくおっさんくさい中年度を濃くしたようだ。熟女蜘蛛の亭主であるヤドカリの姿は店内になかった。とにかくまずはおっぱいだ、そう思いつめてドアを押しながら、そのガラスに映った自分はもはや別人だった。
(入ったときには自動ドアだったのがスウィング・ドアに変わっているのをそのときオレは気づいていなかった……)
(入ったときには自動ドアだったのがスウィング・ドアに変わっているのをそのときオレは気づいていなかった……)
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