６．壇蜜さんがカレーを作ったら

6.壇蜜さんがカレーを作ったら

　カレーのことを考えるとハァハァしちゃうんです。
　
　刺激的な辛さを思うと身体が火照っちゃいます、ほら、身体中の汗腺が開いて汗びっしょり。
　ご覧になります？　ほら、背中からお尻に汗が流れてるでしょう？　まだこれから作るというのにもうこんなに濡れちゃって……え？　おしゃれなエプロン？　うふふ……どうせ脱がされちゃうんですもの、おしゃれなんて意味ないです、ほらこの二つのちょうちょ結びを引っ張れば……でも今はだめ、食後のデザートに取って置いてくださいね。
　家庭的？　尽くす女？　そんなんじゃないです、奉仕は私の悦び、ただそれだけなんです。
　結婚願望は26歳の時に東池袋に捨てて来ましたから、今のわたしは男の人のおもちゃ……それでいいんです、それだけで。
　
　おジャガって、このごつごつした手触りが男の人みたいで……うふふ、それに刃物を当てて剥いて行くって、なんだかエッチ。
　つぎは人参、ほら、見てください、先が二股になってるの、探して来たんです、そのお股の所に刃物を当てて……あん……SMチックでジンと来ちゃいます。
　玉葱……二つに割るとみずみずしくて滴り落ちそう……涙目になっちゃいますね……あん、まだ抱きついちゃだめです、食後のお楽しみって言ったはずです……あん、まだだめ……そんなところに指を……。
　ハァ……ハァ……まだお肉を切って……わたし、エンバーミングをやっていたんです、亡くなった方のご遺体をきれいに整えて差し上げるお仕事……ハァ……ハァ……事故で亡くなられた方は損傷が酷い方も……ああ……。
　もう……いけない方ですね、感じてしまいました……もちろん構いませんけど……わたし思うんです、出し惜しみは女の価値を上げる事にはならないって、わたしの肩書きは『エッチなお姉さん』でいいんです、そう生きようって決めてますから、本能に働きかけて、本能のままに生きる、それがわたしなんです、それがわたしの美学……。
　お肉もお野菜も炒め終わりました、お水を加えて……ルーを割り入れるまでしばらく煮込みのお時間……あん………………………………。