第4話

文字数 2,329文字

「ヨウコ!」
レイカの焦ったような声がスマホから聞こえてきた。
「どうしたの?」
「今ね!じつわマユカから・・・はぁはぁ」
「どうした?なにを焦ってんの?」
「いやさ・・・電話が来て・・・はぁはぁ」
「ちょっとあんた息ちゃんと吸えてないんじゃない?一回深呼吸してよ」
「ゴメン・・・・すぅ〜はぁ〜すぅ〜はぁ〜」
「落ち着いた?」
「ゴメン最近たまにこうなっちゃうんだ。過呼吸っていうのかな?でももう大丈夫」
「で、どうしたの?」
「いやね、いまさっきマユカから電話がかかって来て!そっちには来てない?」
「いやちょっとお風呂に入っててスマホ見てなかった。ちょっと待って」
そう言ってヨウコは自分のスマホの履歴をチェックしてみたが、とくに着信はなかった。

「いや別にこっちに着信はないけど、そっちにマユカから電話が来てどうした?」
「正確言うと着信じゃないんだ。またスマホがこの前みたいにハッキングされて・・・」
「ハッキングって、もしかしてこの前あの廃墟ビルの中であった感じの?」
「そうそうそうそれそれ!スマホがまたあの時みたいな感じになって、昔のファミコンゲームみたいな画面てでさぁ・・・」
「それなら今日マユカとその話してたんよ。その変な現象が、なんでも最近村山台周辺でも他に複数起こってるらしいとかって」
「それマユカから私も聞いてる。そのマユカからの声が突然聞こえてきたんだよ!ハッキングされてるみたいな状態でマユカの声で「先輩ヤバい助けて!」って」
「それってどういう状況?それはつまりスマホの画面があの時と同じゲームの表示・・・たしか『エスケープ・フロム・ホーンテッド・ビルディング』みたいなタイトル画面で、マユカの声がスピーカーから聞こえてきたっていうこと?」
「そう!電話みたいに会話が出来て、マユカはめちゃくちゃ焦った様子だったから、「どうしたの?」って聞いたら「わたしヤバい世界に来ちゃった見たい」って言ってて。なにかその後ろで騒々しい大きい音がしててさ、マユカは酷くよくわからない何かに怯え様子で・・・・」
「なんかそれって、前に廃墟老人に騙された時のレイカの状態に似てない?」
「うん!まさにそれ!マユカも理由が分からないけど、似たようなことに巻き込まれたんじゃないかな?」
「その画面てやっぱりあんな感じの状態?君は脱出ゲームに参加するかどうかみたいな?」
「そうそう、この前と同じ英語表示なんだけど、違ったのは今回はプレイヤー2で参加するかって聞かれてたんだと思う」
「つまりデュオってこと?」
「そうそう!マリオ&ルイージみたいな」
「それって昭和のレトロゲームだよね」
「いやいや今も現役でしょ!最新の映画化されたマリオは、アナ雪の興行収入越えたんだよ!」
「映画あるの?知らんかった」
「そういうことヨウコ疎いもんね。興味に偏食っていうかさ」
「そんなことはどうでもいいよ。それでどうなるの?」
「まぁ協力プレイで参加するかっていう問いに、恐くてNoを押せなくて、そのまま迷ってたら下の方に『助けを呼ぶ』ってような英語のコマンドが見つけたの。それでそれをタップしてみたら別に電話かけてないのにヨウコにつながったわけ!こんなの信じられる?」
「信じるってか今日さぁ、マユカとあの廃ビルに行ったんよ。レイカにも話を振ってたみたいだけど、マユカがそのスマホにフェイトする脱出ゲームが都市伝説じゃなくて本当に起こっているのか真相を確かめたいってさ。でもマユカは「汚いし入りませんて」って言うから入らずにその前で解散、今日は平和裏に帰宅出来た!って思ってたんだが、どうやらより混迷を深めてるようで草」
「草じゃないから、ぜんぜん笑えないから」
「わかってる。でも少し笑かし入れないとやってられんでしょ」
「まぁ確かにそうかもだけど、このゲームを救援で送るとただの通話じゃなくて、ゲームの救援依頼になってるみたい」
「ってかそう言えば、これデフォの通話画面じゃないな。なんか右下の□の拡大マークついてるし、もしかしてこれを押せってわけか」
 ヨウコはそう言って、その□マークを押してみた。すると画面が切り替わり、以前に見た黒い背景に英語表記の脱出ゲームの画面がヨウコのスマホ画面一杯に映しだされた。
「画面が切り替わったよ。レイカ聞こえてる?」
「聞こえてる・・・・けど何か、ヨウコにこれ押し付けるみたいでゴメン」
「ゴメンて!でも今私は無理なのよ。たぶん先に行ってしまってるマユカを助けてやって!このゲームたぶんヨウコしか勝たんから」
「しんど・・・なんで私なのかかようわからんけど、もしかするとあの老人がさらに覚醒して別のエグい世界を作ってとかもあり得るよね。それなら確かに止めないとね。わかったよ。Yesを押して行ってみるよ」
「参加したらどうなるか分からないけど頼む!!」
「それな。でも帰ってきたら何かおごれって。よし!村山台サンモールにある極福のクイーンズプディングね」
「わかった。必ずおごるから!」
「それじゃ行くよ!」

ヨウコは、画面のJOIN?のあとのYes/Noのイエスをタップした。するとスマホの画面からまるでどこか遠い星が爆発するときに発するような強烈な光線が四方八方に溢れて来て一瞬で部屋全体が真白になった。


白意外に何も見えない。そんな状態がどのくらいあっただろう。よく覚えていないけど、意識はあった。


でもそのうち白以外に何もないホワイトアウト状態は溶けていって、徐々に黒い闇が忍び寄ってくるのがわかった。白と黒が混ざり合って、周りに存在する物の輪郭見えてきた。そこはさっきいたヨウコの部屋じゃなかった。でも見覚えのある場所だった。それはあの廃墟ビルディングの側だった。


To be continued.
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登場人物紹介

芹沢ヨウコ。都立雛城高校二年生。実質なにも活動していない茶道部所属。紙の本が好きで勉強も得意だが興味のある事しかやる気が起きないニッチな性格のため成績はそこそこ。根はやさしいくリーダー気質だが何事もたししても基本さばさばしているため性格がきついと周りには思われがち。両親の影響のせいか懐疑派だが実はオカルトに詳しい。

唯々野マユカ。都立雛城高校一年生。性格は明るくルックスよき。故に男子生徒から人気がある。それを自覚した振る舞いの出来るしたたかな面もある。弓道部所属で、”赤い目の女”編と天国と地獄”編に出た水原レイカの部の後輩。適当に入った部なので、皆からそのうちやめるだろうと言われている。レイカつながりでヨウコと知り合い一部からバカ勇者と揶揄されるヨウコのズバズハ物を言う気の強さの反面さばさばした感じのギャップを感じ、変なあこがれを抱いている。

コタロー。村山台の若い地域猫。ナレーションができる猫である。

年老いた茶トラの猫。眼光鋭い強面の健在で未だに外猫のなかでも一目置かれた存在だ。猫丸の先輩的猫。

ヨウコの母。

水原レイカ。都立雛城高校二年生。芹沢ヨウコとは同級生で友人同士。弓道部所属して結構マジメにやっている。母子家庭で妹が一人いる。性格は温和で素直。そのせいか都市伝説はなんでも信じてしまう。ホラーは好きでも恐怖耐性はあまりない。

ドローン

スーパーコタロー。

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