第6話 水曜日のベット

文字数 668文字

僕がセックスに魅力を感じなくなったのはいつの頃からだろう?
恋愛期間が長くなるに連れ、カラダの関係を持続し続ける熱は冷めてしまう。
お互いにベットで、野菜みたいにゴロンと転がりながら過ごす時間は楽しい。
だけど相手への意識が離れていく程、セックスというものが単なる欲求のはけ口みたいに思える時がある。
なら、誰でも良いんじゃないかとさえ思う。

僕もオトコだから 『オンナ』には魅了される。
男とは違ってる。
すべてがちがう気がする。
ガラス細工みたいな肌はいつも良い香りがしていて、髪の毛はわたあめみたいにやわらかい。
そこに隠れされた耳は小動物みたいに可愛くて、首筋や雪桜みたいな肩のライン。
胸もとのホクロだって、すこしだけもりあがった下腹部や滑らかな背中や腰まわり。その『カラダ』の全てに意志を感じ、僕はオトコである事を実感する。彼女がいた時期、付き合い当初は1日に何度も愛し合えた。
けれど、次第に彼女は僕の欲求をやんわりと拒絶するようになった。
今思えば、その頃からお互いの心は離れていたのかも知れない。
理由なんて知りたくはないから考えないようにしていたけど、なんとなく悔しかった。


彼女と別れた昨夜、帰宅した僕は風呂にも入らずに眠ってしまった。
仕事疲れのせいだろう。
泣く事もなく、ぐっすりと眠れた自分が忌まわしい。いつからこんな風になってしまったのだろう。

まだ24時間しか経っていないのに、今寝転んでいる彼女の香りが染み付いたベットがやるせなくて哀しくなった。
涙が頬に零れては消えた。

「情けない」


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