カサイ袋の最愛

作者 さんたん

[ミステリー]

2

3,234

0件のファンレター

紹介文

---経緯の紹介---

「カサイ袋の最愛」は、同人誌即売会の同人ゲーム部門にて、発表していた作品(くわしくは、プロフィール/日記にて説明するため割愛)のひとつです。成海与一を主人公とする最愛シリーズの1作目であり、犯人当てを主軸とするトリックミステリーとなっています。

連続殺人事件の発生とヒロインとの恋愛が、同時に進展し、どちらも解決に繋がっています。最愛シリーズは、サスペンス劇場テイストです。
観光ミステリーと呼ばれるカテゴリーにちかいものです。

わたしの作品群では、最初に三答制(伏せ字)が提示され、解決後に答えが開示されます。

三答制とは、犯人を導き出せる答えのことです。三という数字のとおり、犯人にいたる伏線回収が最低でも三つ用意されているという意味でもあります。

この三答制は、ほかのトリックミステリーにはない新要素となっています。不束三探の作品群は、あたらしいトリックミステリーの形をつくりあげるべく、三答制だけではなく、いままでにない新要素(ニューリードアゲイン、三位十塔、十三位不文律)を数多く、採用しています。

すべての作品の主題は、表紙絵に書いているとおり、ポジティブメタファーミステリーというジャンルです。肯定的を比喩する推理小説という意味であり、読んだ人が前向きな気持ちにかわる作品を目指しています。

逃避型の創作物(エンターテインメント)とは真逆で、どちらかといえば、試行錯誤型の創作物(自己啓発ドキュメント)となっています。

かつて、1910年代の海外ミステリー分野では、殺人事件を内包するトリックミステリーは、もっともポジティブな比喩だと言われていました。

これは、ネガティブ(否定的)な事象である死を前にした主人公が試行錯誤して、謎を解き明かし、犯人を指摘し、作中の不可能的状況をすべて解決するという流れそのものを示しています。

作品全体がユーモラスで明るいというものではなく、「最初の悲劇と最後の喜劇の落差」がポジティブなカタルシスを表現している。これが黄金期トリックミステリーの定説であり、ポジティブメタファーミステリーという概念の始原となっています。

現在、トリックミステリーというジャンルはサスペンスや日常の謎といったエンターテインメント、いわゆる簡素化へと進んでいます。
しかし、もういっぽうのポジティブメタファー、トリック重視の作品もまた、進展しなければなりません。

そこで、わたしはあたらしいスタイル、自己啓発の比喩になるようにデザインしてみました。それがポジティブメタファーミステリー、別名、類別本格ミステリーです。人間は悩みつづける生き物です。自己啓発のほうが、普及の可能性があると思ったからです。

この類別本格ミステリーでは、主人公(トータルポイントが前進の量をあらわしている)の解決へと向けた試行錯誤を主体としています。
カサイ袋の最愛では476回、飛花の命では308回、仁鳥の餌では332回、山風の杭では365回、無月の水では326回の前進性をかさねています。

ただ、この書き方は欠点があります。
トリック、ロジカル、伏線回収が過多となり、読みにくさが増してしまうのです。この情報量が長所でもあるジャンルなので、調整のむずかしいところがあります。

そこで、わたしはすべての作品に完読補助をとりいれることで、最後まで読んでもらおうという判断をしました。
これから同時投稿するミステリーガイドブックが完読補助になります。

ミステリーガイドブックの中身は、間四件、パラグラフリーディング、類別ミステリー集成、三答制の開示になります。
三位十塔と十三位不文律は、別枠に投稿するつもりです。

ノックスの十戒、ヴァンダインの二十則から影響を受けた「三位十塔」と「十三位不文律」は、自作品への縛りです。
恋愛描写を強制化、平易文、短文、場面移動、一章にかならず死体を登場させるなど、少しでも魅力的な展開になるように、独自ルールを取り組んでいます。

この縛りもまた、読みはじめやすいように考えた補助となっています。

ぜひ、エラリークイーンタイプ、論理よりのトリックミステリーが苦手という人は、六点リーダー、パラグラフリーディング、類別ミステリー集成、三答制の開示、三位十塔、十三位不文律といった、完読補助をさきに読んでいただけると、つくった甲斐があります。

それでは、長々と失礼しました。
少しのあいだですが、よろしくお願いします。

---冒頭/あらすじの紹介---

有明第三小学校の小学三年生、成海与一は、同級生の工藤葵に恋心を抱いていた。
ある日の放課後、成海は教室にいる葵を目撃する。
葵は、なにかを抱えて、教室から出て行った。声をかけようと思ったが、途中で、見失ってしまう。彼女はひとり、なにをしていたのだろうか。

成海は疑問をおぼえながら、帰宅する。

彼女の謎めいた行動の真相は、つぎの日に知ることになった。早朝、登校してきた成海は、教室内の異変に気がついた。水槽内のメダカがすべて死んでいたのである。
飼育係だった成海は、水槽内の水が海水にかえられていたことに、いちはやく気がついた。前日、工藤葵は水槽を外へと持ち出したのだ。
善意から、汚れた水を海水と交換したのである。
メダカは海水に強い魚だが、長時間は生きられない。それを知らなかったのだ。

そのとき、校門に葵の姿を見つける。あわてていた。愚行に気がついたらしい。
成海は、葵を守るために、メダカの死を隠すことにした。
水槽を窓から突き落としたのである。
こうして、メダカが全滅した理由は、成海と葵しか知らなくなった。ただ、この成海の行動は、その日だけでは終わらなかった。先生に激怒され、同級生からは距離をとられた。成海は問題児として扱われることになり、長い学校生活に暗い影を落とすことになった。
ふたりは、この事件以降、ことばを交わすこともなく、離ればなれになった。

しかし、十数年のときを経て、転機がおとずれる。
大人になった成海は、ふたたび、工藤葵と出会うことになった。
葛西での再会だった。
成海は有明単探社という同級生の設立した会社のライターになっていた。成海が二十歳すぎに出した警察四一はベストセラーとなり、だれもが知る作家となっていたのだ。
おかげで、有明単探社の業績は好調だった。

成海たちは、さらなるステップアップのために、東京都の観光本を出すことにきめた。観光本の第一弾は江戸川区、葛西周辺だった。同級生であり、社長の三郷は、江戸川区をよく知るガイドの協力をえていた。
その人物こそ、工藤葵だったのである。

ふたりが顔を合わせて、会話をするのは、はじめてだった。
カフェで仲をふかめる。
成海と葵は、男女の間柄を意識しながら、カフェから葛西駅へともどる。

ふたりを待っていたのは、ロマンチックな観光取材の旅ではなく、衝撃的な殺人事件の遭遇だった。

ふたりの目のまえへと、右腕が飛んできたのである。
男性の死体の一部だった。

右腕は葛西駅のモニュメントである風車に括られていた。
駅前は大混乱となる。
江戸川区を恐怖に落とす連続殺人事件のはじまりだった。

そして、それは、小学三年生のころに起きた事件もまた、関係してくるのだった。
(全体概要は、ミステリーガイドブックを参照)

---おおよその投稿スケジュール---

三答制(伏せ字)
序章
完読補助の六点リーダー
完読補助のパラグラフリーディング
以下、各章後に完読補助の繰り返し
一章
二章
三章
四章
五章
六章
七章
八章
九章
十章
十一章
十二章
十三章
十四章
十五章
十六章
十七章
十八章
十九章
二十章
二十一章
二十二章
二十三章
二十四章
三答制(開示)
叙述曲
類別プロット表
類別ミステリー集成(全説明)
三答制の詳細開示

※カサイ袋の最愛にかぎり、実験的に、各章、ふたつほど、背景イメージをのせています。観光ミステリーなので、観光地(この作品は江戸川区周辺)の写真が多いです。ゲーム内イラストや登場人物のアイコン以外の立ち絵などはのせていません。こんご、変更するかもしれません。

目次

完結 全30話

2024年03月27日 10:00 更新

  1. 三答制 公開日: 2024/03/01
  2. 序章 工藤葵 公開日: 2024/03/01
  3. 一章 斬りとられた右腕 公開日: 2024/03/02
  4. 二章 葛西臨海公園の案内 公開日: 2024/03/03
  5. 三章 多目的研究センター 公開日: 2024/03/04
  6. 四章 多目的研究センターの殺人事件 公開日: 2024/03/05
  7. 五章 クローズドルーム 公開日: 2024/03/06
  8. 六章 流血の金魚祭り 公開日: 2024/03/07
  9. 七章 三つ目の四肢、斬りとられた左腕 公開日: 2024/03/08
  10. 八章 亜紀と加古のアリバイ 公開日: 2024/03/09
  11. 九章 桐生のアリバイと犬飼の行方 公開日: 2024/03/10
  12. 十章 秋田のアリバイと被害者のゴミ出し 公開日: 2024/03/11
  13. 十一章 宇田川のアリバイとシンポジウム 公開日: 2024/03/12
  14. 十二章 白い蠍 公開日: 2024/03/13
  15. 十三章 右脚の行方 公開日: 2024/03/14
  16. 十四章 隠し缶蹴り作戦 公開日: 2024/03/15
  17. 十五章 はじまりの追憶 公開日: 2024/03/16
  18. 十六章 記者会見 公開日: 2024/03/17
  19. 十七章 サスペンスインサート 公開日: 2024/03/18
  20. 十八章 三つ目の殺人事件 公開日: 2024/03/19
  21. 十九章 芦ヶ池のクロマグロ 公開日: 2024/03/20
  22. 二十章 示唆二十回目の大回収 公開日: 2024/03/21
  23. 二十一章 成海与一の覚醒 公開日: 2024/03/22
  24. 二十二章 幕間 類別本格の読者への挑戦 公開日: 2024/03/23
  25. 二十三章 表裏完遂 公開日: 2024/03/24
  26. 二十四章 カサイ袋の最愛・後日談 公開日: 2024/03/25
  27. 三答制(開示+正答制) 公開日: 2024/03/26
  28. 叙述曲「ユウタイホンヤク」 公開日: 2024/03/26
  29. カサイ袋の最愛 類別プロット表(手掛かり索引+) 公開日: 2024/03/26
  30. ---あとがき--- 公開日: 2024/03/27

登場人物

成海与一……本シリーズの主人公。有明単探社に勤めているライターである。二十代前半のころに出版した警察四一がベストセラーとなり、一般市民にも広く認知されている。成海の活動は警察のイメージアップ戦略にも使われており、本庁、所轄ともに大々的な協力体制が築かれている。

現在、成海は東京アルカディアという観光本を出すために、東京中を取材している。

本作の舞台は江戸川区葛西周辺である。葛西駅に到着してすぐに、ばらばら死体の遺棄事件に巻きこまれる。スケジュ―ル帳に手掛かりを記入する癖がある。この示唆急文が二十項目、そろったとき、犯人へといたる三つの推理が完成される。

藤堂平助……成海の古くからの友人。本庁刑事部の機動捜査隊に新設された遊撃連携係の巡査部長である。解き手の成海に対しての助手役。機動捜査隊の一員ながらも、初動捜査のあとの別行動・連続捜査が許されている。

父親の秀一郎は遊撃特別警ら隊の制度を高く評価しており、それを本庁の刑事部機動捜査隊にとりいれた。所轄の刑事と合流し、捜査本部がひらかれるまで、協力体制をととのえる役割がある。

工藤葵……成海と同い年の異性。有明第三小学校では、三年生のころの同級生だった。成海と葵はお互いに恋心をもっているが、進展はしなかった。葛西臨海公園の多目的研究センターで働いていたこともあって、葛西周辺の案内役となる。序章で起きた騒動がトラウマとなっており、成海に対して、負い目をもっている。

宇田川信哉……多目的研究センターの室長をしている。施設内でもっとも偉い人物。第一生物系産業機構で働いている。事件当日は、二回目のシンポジウムに参加していた。

秋田進太郎……水質環境研究所で働いている研究員。水質環境研究所は葛西市内にも本部があり、ふだんから行き来している。事件のあった日、秋田は鉛濃度のチェックをしていた。

加古勝巳……多目的研究センターの前身である病院に勤めていた。交通事故によって、足に怪我を負っている。本人の性格に問題があり、カルテ整理室での仕事を命じられている。

橋口亜希……多目的研究センターの事務員をしている。元同僚の工藤葵とは親しい間柄。三浦の死体の第一発見者となる。

桐生邦夫……葛西臨海公園の清掃仕事を担っている。公園内にある池の水質を改善するために、多目的研究センターの研究員と協力していた。

三浦真……第二生物系産業機構・上席研究員。宇田川室長の部下にあたる。葛西臨海公園の広場で、犬飼と口論していた。成海と葵が事情をきいたときに、追求を誤魔化し、どこかへと消えていった。

寺崎恭吾……緑川大学付属イノベーション室主任研究員。ちかごろは、多目的研究センターで目撃されていない。作中では意外な形で登場し、認識されることになる。

犬飼洋太……葛西臨海公園の清掃員。不審な行動が目撃されている。新聞を片手に、公園内を歩きまわっていた。

武部秀……水質環境研究所の所長であり、秋田進太郎の上司にあたる。面倒見がいい。事件が起きた直後、多目的研究センターに顔を出し、秋田の心配をしていた。

今岡小百合……緑川大学付属イノベーション室の教授であり、寺崎恭吾の上司にあたる。真面目な性格。かつて、多目的研究センターで起きた盗難事件に、唯一、気がついた。

桜井三津留……白い蠍の現リーダー。五年まえは副リーダーだった。半グレ集団、白い蠍を率いている。武闘派だが、弁護士を呼ぶ悪知恵もある。

安藤剛……白い蠍の構成員。桜井の忠実な部下。外ではフードをかぶっている。

沼田平治……葛西署の刑事。五年まえの未解決事件、流血の金魚祭りの捜査を担当していた。大学生を殺害した犯人を捕まえることができず、いまも後悔している。沼田は、藤堂が外回りの捜査をする際の相棒である。

ファンレター

ファンレターはありません

小説情報

カサイ袋の最愛

さんたん  santan

執筆状況
完結
エピソード
30話
種類
一般小説
ジャンル
ミステリー
タグ
トリックミステリー, 類別本格ミステリー, 読者への挑戦, アリバイ崩し, ばらばら殺人, 恋愛, 完読の補助付き, ポジティブメタファー, ボーイミーツガール, ハッピーエンド
総文字数
275,352文字
公開日
2024年02月06日 10:00
最終更新日
2024年03月27日 10:00
ファンレター数
0