カサイ袋の最愛

作者 さんたん

[ミステリー]

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紹介文

---経緯の紹介---

「カサイ袋の最愛」は、同人誌即売会の同人ゲーム部門にて、発表していた作品(くわしくは、プロフィール/日記にて説明するため割愛)のひとつです。成海与一を主人公とする最愛シリーズの1作目であり、犯人当てを主軸とするトリックミステリーとなっています。

連続殺人事件の発生とヒロインとの恋愛が、同時に進展し、どちらも解決に繋がっています。最愛シリーズは、サスペンス劇場テイストです。
観光ミステリーと呼ばれるカテゴリーにちかいものです。

わたしの作品群では、最初に三答制(伏せ字)が提示され、解決後に答えが開示されます。

三答制とは、犯人を導き出せる答えのことです。三という数字のとおり、犯人にいたる伏線回収が最低でも三つ用意されているという意味でもあります。

この三答制は、ほかのトリックミステリーにはない新要素となっています。不束三探の作品群は、あたらしいトリックミステリーの形をつくりあげるべく、三答制だけではなく、いままでにない新要素(ニューリードアゲイン、三位十塔、十三位不文律)を数多く、採用しています。

すべての作品の主題は、表紙絵に書いているとおり、ポジティブメタファーミステリーというジャンルです。肯定的を比喩する推理小説という意味であり、読んだ人が前向きな気持ちにかわる作品を目指しています。

逃避型の創作物(エンターテインメント)とは真逆で、どちらかといえば、試行錯誤型の創作物(自己啓発ドキュメント)となっています。

かつて、1910年代の海外ミステリー分野では、殺人事件を内包するトリックミステリーは、もっともポジティブな比喩だと言われていました。

これは、ネガティブ(否定的)な事象である死を前にした主人公が試行錯誤して、謎を解き明かし、犯人を指摘し、作中の不可能的状況をすべて解決するという流れそのものを示しています。

作品全体がユーモラスで明るいというものではなく、「最初の悲劇と最後の喜劇の落差」がポジティブなカタルシスを表現している。これが黄金期トリックミステリーの定説であり、ポジティブメタファーミステリーという概念の始原となっています。

現在、トリックミステリーというジャンルはサスペンスや日常の謎といったエンターテインメント、いわゆる簡素化へと進んでいます。
しかし、もういっぽうのポジティブメタファー、トリック重視の作品もまた、進展しなければなりません。

そこで、わたしはあたらしいスタイル、自己啓発の比喩になるようにデザインしてみました。それがポジティブメタファーミステリー、別名、類別本格ミステリーです。人間は悩みつづける生き物です。自己啓発のほうが、普及の可能性があると思ったからです。

この類別本格ミステリーでは、主人公(トータルポイントが前進の量をあらわしている)の解決へと向けた試行錯誤を主体としています。
カサイ袋の最愛では476回、飛花の命では308回、仁鳥の餌では332回、山風の杭では365回、無月の水では326回の前進性をかさねています。

ただ、この書き方は欠点があります。
トリック、ロジカル、伏線回収が過多となり、読みにくさが増してしまうのです。この情報量が長所でもあるジャンルなので、調整のむずかしいところがあります。

そこで、わたしはすべての作品に完読補助をとりいれることで、最後まで読んでもらおうという判断をしました。
これから同時投稿するミステリーガイドブックが完読補助になります。

ミステリーガイドブックの中身は、間四件、パラグラフリーディング、類別ミステリー集成、三答制の開示になります。
三位十塔と十三位不文律は、別枠に投稿するつもりです。

ノックスの十戒、ヴァンダインの二十則から影響を受けた「三位十塔」と「十三位不文律」は、自作品への縛りです。
恋愛描写を強制化、平易文、短文、場面移動、一章にかならず死体を登場させるなど、少しでも魅力的な展開になるように、独自ルールを取り組んでいます。

この縛りもまた、読みはじめやすいように考えた補助となっています。

ぜひ、エラリークイーンタイプ、論理よりのトリックミステリーが苦手という人は、六点リーダー、パラグラフリーディング、類別ミステリー集成、三答制の開示、三位十塔、十三位不文律といった、完読補助をさきに読んでいただけると、つくった甲斐があります。

それでは、長々と失礼しました。
少しのあいだですが、よろしくお願いします。

---冒頭/あらすじの紹介---

有明第三小学校の小学三年生、成海与一は、同級生の工藤葵に恋心を抱いていた。
ある日の放課後、成海は教室にいる葵を目撃する。
葵は、なにかを抱えて、教室から出て行った。声をかけようと思ったが、途中で、見失ってしまう。彼女はひとり、なにをしていたのだろうか。

成海は疑問をおぼえながら、帰宅する。

彼女の謎めいた行動の真相は、つぎの日に知ることになった。早朝、登校してきた成海は、教室内の異変に気がついた。水槽内のメダカがすべて死んでいたのである。
飼育係だった成海は、水槽内の水が海水にかえられていたことに、いちはやく気がついた。前日、工藤葵は水槽を外へと持ち出したのだ。
善意から、汚れた水を海水と交換したのである。
メダカは海水に強い魚だが、長時間は生きられない。それを知らなかったのだ。

そのとき、校門に葵の姿を見つける。あわてていた。愚行に気がついたらしい。
成海は、葵を守るために、メダカの死を隠すことにした。
水槽を窓から突き落としたのである。
こうして、メダカが全滅した理由は、成海と葵しか知らなくなった。ただ、この成海の行動は、その日だけでは終わらなかった。先生に激怒され、同級生からは距離をとられた。成海は問題児として扱われることになり、長い学校生活に暗い影を落とすことになった。
ふたりは、この事件以降、ことばを交わすこともなく、離ればなれになった。

しかし、十数年のときを経て、転機がおとずれる。
大人になった成海は、ふたたび、工藤葵と出会うことになった。
葛西での再会だった。
成海は有明単探社という同級生の設立した会社のライターになっていた。成海が二十歳すぎに出した警察四一はベストセラーとなり、だれもが知る作家となっていたのだ。
おかげで、有明単探社の業績は好調だった。

成海たちは、さらなるステップアップのために、東京都の観光本を出すことにきめた。観光本の第一弾は江戸川区、葛西周辺だった。同級生であり、社長の三郷は、江戸川区をよく知るガイドの協力をえていた。
その人物こそ、工藤葵だったのである。

ふたりが顔を合わせて、会話をするのは、はじめてだった。
カフェで仲をふかめる。
成海と葵は、男女の間柄を意識しながら、カフェから葛西駅へともどる。

ふたりを待っていたのは、ロマンチックな観光取材の旅ではなく、衝撃的な殺人事件の遭遇だった。

ふたりの目のまえへと、右腕が飛んできたのである。
男性の死体の一部だった。

右腕は葛西駅のモニュメントである風車に括られていた。
駅前は大混乱となる。
江戸川区を恐怖に落とす連続殺人事件のはじまりだった。

そして、それは、小学三年生のころに起きた事件もまた、関係してくるのだった。
(全体概要は、ミステリーガイドブックを参照)

---おおよその投稿スケジュール---

三答制(伏せ字)
序章
完読補助の六点リーダー
完読補助のパラグラフリーディング
以下、各章後に完読補助の繰り返し
一章
二章
三章
四章
五章
六章
七章
八章
九章
十章
十一章
十二章
十三章
十四章
十五章
十六章
十七章
十八章
十九章
二十章
二十一章
二十二章
二十三章
二十四章
三答制(開示)
叙述曲
類別プロット表
類別ミステリー集成(全説明)
三答制の詳細開示

※カサイ袋の最愛にかぎり、実験的に、各章、ふたつほど、背景イメージをのせています。観光ミステリーなので、観光地(この作品は江戸川区周辺)の写真が多いです。ゲーム内イラストや登場人物のアイコン以外の立ち絵などはのせていません。こんご、変更するかもしれません。

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