夏と夢の墓標
全く蝉の声が騒がしい。
枯れる太陽の下でそう思いながら、コンビニで昼食を買う為に並木道を歩く。
そしたら、道端に蝉の死骸が落ちていた。
他の奴らより早めに土から出てきて、そして早く逝ってしまったんだな。
頑張るのはいいけど、そんなに急ぐ必要もないじゃないか。
つい最近まで、希死念慮に取り憑かれていた僕が言えることじゃないけどさ。
それは置いといて、引越しの準備がまだ終わってないんだよな。
でも全くやる気が起きない。
世界中で相変わらず様々な戦争が起こっているし、僕自身の生存だってあくまで未定だし。
もし生きていくと仮定したとして、何を大事に持っていくとしようか。
数少ない洋服はもう段ボールに入れたな。あとは筆記用具と中折れ帽子だな。
そういえば愛読書の隙間から、あいつとの馬鹿みたいな思い出が出てきたんだっけ。
どうせ何もせずとも勝手に付いてくるし、それなら大切に包んでおいてやるか。
まぁ、ひとまず帰るか。引越しの準備は面倒だけど、やらないといけないからな。
でも本当に暑いな。
いつかの夏みたいに、悲しい暑さだ。
登場人物
登場人物が未設定です
ファンレター
ファンレターはありません