爆弾魔

作者 黒い言葉

[現代ドラマ・社会派]

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何故、僕は僕になったのか。
何故、僕は今日まで生き残ることができたのか。
僕にペンを置くことを許さないのは、何なのか。
この世界で生き残る為の、自我を失わない為の戦いで、黒煙が立ち込める毎日。
未だに無数の視線を向けられてる気がして、
未だに笑われている気がして、
たまに満員電車で冷や汗と吐き気に苦しみ、
焦りで浅はかなミスを犯し、
己の不甲斐なさに帽子を叩きつけて、
友よ、こんな姿を見ないでくれと、
背後霊よ、どうか怒らないでくれと、
そんな悲壮感を撃ち抜く為に、
夜遅くに自分のアイデンティティを呼び起こす度、いつもあの夏を思い出す。
開戦前夜。
生きるか死ぬかの分岐点。
振り返ればいつも、過去の自分が立っている。
怒りで固く拳を握り、肩で息をして、でもその顔は今にも泣きそうで、
無数の冷たい視線を向けられ、
笑われて、
罵られて、
それで毎夜の如く暗い牢獄に閉じこもり、
隠していたルーズリーフを取り出し、その上に覚えたての拒否オロジーを乱射する。
あの頃の僕は、全てを変える武器を探していた。
全知全能らしい神様をぶっ殺してやる為に、
あいつら全員を見返してやる為に、
あの日の言葉を取り戻す為に、
最悪な日常から抜け出す為に、
そんな僕の黒く淀んだ部分が火薬になって、
爆弾が大量生産されていって、
僕の黒メモは誰にも見せられない代物になったけど、
数多くの不発弾達に、時々悟されることがあるから、
今も変わらず、爆破予告をし続けているんだ。

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小説情報

爆弾魔

黒い言葉  kotoba101

執筆状況
完結
エピソード
16話
種類
一般小説
ジャンル
現代ドラマ・社会派
タグ
ヒューマンドラマ, 男主人公, 死, 現代, アイデンティティ, 一人称, 小説家
総文字数
48,911文字
公開日
2022年03月21日 18:13
最終更新日
2023年10月09日 13:38
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