爆弾魔
何故、僕は僕になったのか。
何故、僕は今日まで生き残ることができたのか。
僕にペンを置くことを許さないのは、何なのか。
この世界で生き残る為の、自我を失わない為の戦いで、黒煙が立ち込める毎日。
未だに無数の視線を向けられてる気がして、
未だに笑われている気がして、
たまに満員電車で冷や汗と吐き気に苦しみ、
焦りで浅はかなミスを犯し、
己の不甲斐なさに帽子を叩きつけて、
友よ、こんな姿を見ないでくれと、
背後霊よ、どうか怒らないでくれと、
そんな悲壮感を撃ち抜く為に、
夜遅くに自分のアイデンティティを呼び起こす度、いつもあの夏を思い出す。
開戦前夜。
生きるか死ぬかの分岐点。
振り返ればいつも、過去の自分が立っている。
怒りで固く拳を握り、肩で息をして、でもその顔は今にも泣きそうで、
無数の冷たい視線を向けられ、
笑われて、
罵られて、
それで毎夜の如く暗い牢獄に閉じこもり、
隠していたルーズリーフを取り出し、その上に覚えたての拒否オロジーを乱射する。
あの頃の僕は、全てを変える武器を探していた。
全知全能らしい神様をぶっ殺してやる為に、
あいつら全員を見返してやる為に、
あの日の言葉を取り戻す為に、
最悪な日常から抜け出す為に、
そんな僕の黒く淀んだ部分が火薬になって、
爆弾が大量生産されていって、
僕の黒メモは誰にも見せられない代物になったけど、
数多くの不発弾達に、時々悟されることがあるから、
今も変わらず、爆破予告をし続けているんだ。
目次
完結 全16話
2023年10月09日 13:38 更新
- 前書き2023年10月09日
- 1. 死体のようで2023年10月07日
- 2. コンビニ2023年10月09日
- 3. 公園のベンチ2023年10月07日
- 4. 神様のいない部屋2023年10月08日
- 5. 自由という夢2023年10月07日
- 6. 段落読み2023年10月07日
- 7. 真夜中の爆弾工房2023年10月07日
- 8. ランニング2023年10月07日
- 9. 免罪符2023年10月07日
- 10. 職員室2023年10月07日
- 11. 馬鹿騒ぎ2023年10月07日
- 12. ゲームセンター2023年10月07日
- 13. 暴発2023年10月07日
- 14. 爆弾魔2023年10月07日
- 後書き2023年10月09日
登場人物
登場人物が未設定です
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