閑話33「続々々・身も蓋もない話」なのぢゃ!

文字数 833文字

【閑話33】

 生物の繁殖パートナー探しは、実は「腸内細菌によって行われている」と云う説もあるそうぢゃ。
 こないだNHKの番組でやっておったがの、

 ショウジョウ蠅を使った実験でな、糖質ばかりを餌にして育てた蠅と、でんぷん質ばかりを餌にして育てた蠅を、今度は一緒の容器入れて観察すると、ペアになる蠅は、ほとんどが「餌が一緒の蠅同士」だったそうぢゃ。
 餌が同じぢゃから、腸内環境も腸内細菌の状態もほぼ同じぢゃから、腸内環境が同じ者同士がペアリングしたことになるのぢゃな。
 つーことは、他の生物も、もちろん人間も、ペアリングする際には、お互いの「腸内細菌が発する何らかのフェロモン」を検知して、「恋」という感情を催し、相手を選らんでいるのかもしれんのぢゃ。
 ちなみにショウジョウ蠅がこのような実験に使われる理由は、染色体やDNAが人との共通点が多いかららしいの。

 今昔物語集の平中(へいちゅう)は、恋焦がれる侍従の君への想いを断ち切るために、侍従の君のおまるの中身を覗いて幻滅しようと思ったのぢゃが、それも侍従の君の悪魔的とも云える(たくら)みで、更に恋焦がれてしまう次第となったがの、人間の排泄物の臭いの元は「スカトール」と云う物質でな、ネット百科事典にはこう書いておった。

【天然には、哺乳類の糞(消化管内でトリプトファンから分解される)、ビート、コールタールなどから単離され、強い糞臭を持つ。 低濃度では花の香りを呈し、実際にオレンジ、ジャスミンやある種のトロピカルフルーツの花の香気成分に含まれている。またこの物質は、多くの香水の香料や定着剤、タバコの香料および添加物として使われている。】

 昔から、おフランス製の香水は、わざとこのようなスカトール成分を微量に混入させており、それが性的興奮を誘う香りともなったと伝えられておるわい。

 まっ、身も蓋もない話だけでは、小説は成り立たんからの、そこをどうやってロマンティック、ドラマティックにお料理するかが、皆の衆の腕の見せどころなのでしょうな。
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