閑話49 「続・その差はどこにある?」なのぢゃ!

文字数 1,033文字

【閑話49】

 マスコミが、ビッグモーターの保険金詐欺事件を盛んに取り上げるのは、「このネタは視聴者にウケる!」と読んでおるからなんぢゃろうのう。
 たしかに、ビッグモーターの所業を視聴者が知れば、「自分の愛車をわざと傷つけられたり、壊されたりするのは許せない!」と、個人レベルで感情移入しやすいぢゃろうし、

「もしかしたら他の会社でもそんなことしてるかもしれないし、もしかしたら自分の車もそんなことされてるかもしれない!」

 などと、切実な妄想がどんどん膨らんでいくかもしれんしのう……。
 まあ、視聴者は義憤と共に興味津々ぢゃわいな。
 そこに、「ビッグモーターがこんな変な会社になってしまったのは、副社長である二代目の息子とその取り巻き、いわゆるロイヤル・ファミリーのせいだ!」なんぞと、内部情報的な燃料が投下されると、さらに興味津々度合いはヒートアップする訳ぢゃな。

 一方の近ツリの補助金過大請求詐欺が大々的に取り上げられなかったのは、マスコミからすれば今ひとつ視聴者受けが悪いと判断されたのかもしれませんがな、それよりももっと大きな理由があるのかもしれませんのう。

 近ツリはその業務上、関連先が多いでしょうからのう、国交省や各地方自治体とも太いパイプを持っておるぢゃろうし、マスコミと広告代理店に対する影響力も大きい企業でしょうから、おそらく、国交省の天下り先なっておるかもしれませんし、関係企業との出向のやりとりもあるでしょうから、そこはそれ、マスコミ各社の忖度が働いておるのかもしれませんわな。
 
 それにしてもですよ、国や自治体から騙し取った金額が最大で16億円なんですぞ、16億! 皆の衆はもっと近ツリ詐欺に怒らんといかんのではないですかな?

 しかし、マスコミが騒ぎさえすれば、針小棒大的に大事件になって、マスコミがだんまりを決め込めば、大事件も視聴者にとっては無かったも同然になるというこの傾向には、マスコミは笑いが止まらんでしょうな。
 特に我が国では、テレビによる大衆の心理操作がまだまだ有効みたいですからのう。

 儂が今一番不思議に思うておることはぢゃな、ビッグモーターに対して四十数名の出向者を出しておきながら、損保ジャパンがビッグモーターの不正に気付かなかったなんてことほんとにあるのぢゃろうか?ってことですわい。
 つーか、四十数名の出向者を出して受け入れておる時点で、両社関係の関係はただならぬものではないか! と考えるのは儂だけではないと思うがの。


 
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