第61話 酒酔いの醜態 徒然草175-2人の飲み様

文字数 559文字

□色々な人の飲み様を見ていると、鬱陶しいものである。分別ありそうな人で、心憎いばかりの人でも、何でもないところで笑い、人を罵り、言葉も多く、烏帽子も歪み、ひもは外すし、脛を高く掲げて、不用意な気色は、日頃の人と同じとは思えない。
女は、額の髪の毛を掻き揚げるし、気恥ずがりもせず、顔を上向けて大声で笑い、盃を持っている手に取りついて、良くない人は、肴を取って口を上向きにして、食べる様子は、まことに行儀が悪い。大声で喋り、おのおの歌い舞い踊る、老人の法師が引き出され黒く汚い身を肩脱ぎして、目も当てられないほど身をよじらせ踊るのを、面白がって見る人でさへ、うとましく憎たらしい。
※酒に酔っ払った人の描写が、まさに目に浮ぶような感じである。日頃は品のいい人が、酒の席でアルコールに心の壁が取り払われ、思わぬ醜態を見せることはあり得るし、女官が顎を挙げ大声で笑うなど、当時ははしたないと忌み嫌われていたのでしょう。酒の肴を箸で上に持ち上げ、口をあけ、そこへ落として食べる。これも品がないと怒られたものです。どんちゃん騒ぎで、踊ることもあったでしょう。老人が片肌脱いで、酔いに任せて、身体をくねくねさせるなど、見苦しいでしょう。若い美女が踊るののは、実に良い物ですけどね。兼好先生、禁酒令でもだしそうな勢いですね。
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