第51話 水軍の力
文字数 594文字
ここからが隼人が真砂を訪れた本題である。
「文を拝見しました。わが水軍の船に草薙の兵を乗せて欲しい、とのご用向きでしたな」
「その通りでございます。曽我さまもご存じのように、草薙は水軍を持っておりません。今から船を造っていたのではとても間にあわず、曽我水軍の力をお借りしたく、まかり越しました」
「兵の数はいかほど?」
「動員令に従い、約三百名ほどになるかと」
兼光はゆっくりと立ち上がり、窓の方へ歩み寄って隼人を手招きした。乞われるまま隼人がかたわらに立つと、窓の外を指さす。
窓からは葉を落とした木々のむこうに入り江が見え、眼にした光景は隼人を圧倒した。
これが噂に聞く、曽我水軍。
大型の軍船から小船に至るまで、おびただしい数の船が所狭しと湾に停泊している。
全部で何隻になるだろうか。これほど多くの船が集結しているさまは、今まで見たことがない。
「確かに一時に三百人を運ぶのは大変ですが、文にもあった通り、分散して少人数にすれば充分に可能でしょう」
隼人は驚嘆しつつも、真剣な面持ちで老武将を見た。
「では、曽我さま、お願いできますでしょうか」
「わが水軍をもって草薙の兵を羅紗まで運ぶこと、お引き受け申した」
かたじけない、と隼人は深い感謝をこめて老当主の手を取った。
「文を拝見しました。わが水軍の船に草薙の兵を乗せて欲しい、とのご用向きでしたな」
「その通りでございます。曽我さまもご存じのように、草薙は水軍を持っておりません。今から船を造っていたのではとても間にあわず、曽我水軍の力をお借りしたく、まかり越しました」
「兵の数はいかほど?」
「動員令に従い、約三百名ほどになるかと」
兼光はゆっくりと立ち上がり、窓の方へ歩み寄って隼人を手招きした。乞われるまま隼人がかたわらに立つと、窓の外を指さす。
窓からは葉を落とした木々のむこうに入り江が見え、眼にした光景は隼人を圧倒した。
これが噂に聞く、曽我水軍。
大型の軍船から小船に至るまで、おびただしい数の船が所狭しと湾に停泊している。
全部で何隻になるだろうか。これほど多くの船が集結しているさまは、今まで見たことがない。
「確かに一時に三百人を運ぶのは大変ですが、文にもあった通り、分散して少人数にすれば充分に可能でしょう」
隼人は驚嘆しつつも、真剣な面持ちで老武将を見た。
「では、曽我さま、お願いできますでしょうか」
「わが水軍をもって草薙の兵を羅紗まで運ぶこと、お引き受け申した」
かたじけない、と隼人は深い感謝をこめて老当主の手を取った。