第14話:反日デモ、巨額赤字、欧州経済危機

文字数 2,029文字

 日銀は2月、「当面1%」という事実上のインフレ目標を導入して金融緩和姿勢を強化した。
9月、10月には、9年半ぶりとなる2カ月連続の追加金融緩和に踏み切った。それに呼応するかのように2012年3月期連結決算で、パナソニック、ソニー、シャープがそろって過去最大の赤字を計上した。

 韓国勢などとの価格競争激化や円高で、テレビ事業が不振を極めたためだ。3社合計の赤字額は1兆6000億円超。日本の産業界をけん引してきた家電大手の落日ぶりが鮮明となった。パナソニックとシャープは2013年3月期も巨額赤字が続く見通しと発表。いずれも大規模な人員削減などで苦境脱出を図るが、展望は開けていない。

 一方、地デジ移行特需の反動で収益が悪化した家電量販業界では再編が加速。ビックカメラがコジマを、ヤマダ電機がベスト電器を買収するなど、弱肉強食時代に突入した。さらに加えて日本では、社会保障と税の一体改革の柱である消費増税法が民主、自民、公明の3党合意を経て8月に成立した。

 社会保障と税の一体改革の柱である消費増税法が、主、自民、公明の3党合意を経て2012年8月に成立。2014年4月に税率を5%から8%に17年ぶりに引き上げ、15年10月には10%にする予定である。財政再建への増収分は、医療や子育てなど社会保障に充てられる。ただ、増税実施の可否は半年前に内閣が判断。低所得者の負担軽減策など課題は山積だった。

 法律には、経済情勢によりは執行停止も含めた措置を講じる「景気条項」も盛り込まれた。デフレでの実施には、反対論も強く、夏には、参院選を控え増税の行方には、不透明感も漂っている。欧州債務危機は、ユーロ圏の崩壊といった最悪の事態は回避したが、すぶり続けた。原因のギリシャでは、5月の総選挙で緊縮財政反対派が躍進し、連立交渉に失敗した。

 6月の再選挙で、ユーロ残留を目指す緊縮派が過半数を確保したが、国際通貨基金「IMF」や欧州連合「EU」との第2次支援の交渉は年末までもつれ込んだ。ただし、欧州中央銀行「ECB」が、9月、スペインなどの国債を無制限に買い上げる方針を表明。10月、危機国に最大5千億ユーロの支援融資を実施できる欧州安定機構「ESM」も発足した。

 そのため、危機国の国債利回りは、やや低下し、ユーロ相場も反発に転じた。2008年のリーマン・ショック以来、世界経済を引っ張った新興国で成長率の低下した。中国では、国内総生産伸び率が7~9月期には前年比7.4%と7四半期連続で低下し通年の成長率は13年ぶりに8%を割り込んだ。債務危機の欧州向け輸出が減少したほか日中関係の悪化も響きそうだ。

 頭文字を取って「BRICS」と呼ばれるインド、ブラジルなどでは、減速は一段と鮮明だ。両国は10年にはそれぞれ、10.1%、7.5%の成長率を達成した。しかし、国際通貨基金「IMF」予測では、12年には4.9%、1.5%に落ち込むと予想されている。と言う事で2012年は、世界中で不景気風邪が吹き荒れる年となった。

 この年は、世界中で政治の年となった。北朝鮮の金正恩氏は、4月11日の労働党代表者会で、党最高ポストの第1書記に就任した。その後、4月13日の最高人民会議で国防委員会第1委員長にも就いた。こうして、昨年12月に死去した父、金正日総書記からの権力継承手続きを済ませた。

 2012年11月6日の米大統領選で、民主党の現職オバマ大統領が共和党のロムニー前マサチューセッツ州知事を破り再選を果たした。4年前に「変革」を公約、圧勝した当時の勢いが消えたオバマ氏は、景気回復の遅れや失業率の高止まりでロムニー陣営から批判を浴びた。しかし、大富豪のロムニー氏を「庶民の敵」と印象付ける選挙戦略が成功し選挙戦を制した。

 米国では2009年のリーマン・ショック後の金融危機を受けて貧富差が拡大した。上下両院の多数派が異なる「ねじれ」が、解消していない。中国では、11月15日の中央委員会第1回総会で、習近平国家副主席「当時59歳」が総書記に選出された。習氏は胡錦濤国家主席から最高指導者を引き継ぎ、今後10年間、中国を率いる見通しだ。

 やがて2013年が明け、初詣に行き、根本家の家内安全と繁栄を祈願し、お賽銭を置いてきた。しかし、年明け早々、テロ事件で2013年の幕が上がった。アルジェリア南東部イナメナスの天然ガス関連施設を1月16日、イスラム武装勢力が襲撃、日本人を含む多数が人質にされた。アルジェリア軍が17日、施設内に突入した。

 そして武装ヘリコプターも投入して犯行グループの32人を殺害したが、人質も巻き添えになり、外国人39人が死亡した。日本人の犠牲者はプラント建設大手「日揮」の10人で、国籍別では最も多かった。この事件は、北アフリカの国際テロ組織、イスラム・マグレブ諸国のアルカイダから離脱したベルモフタール司令官率いる過激派「覆面旅団」が実行した。
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