ウォルテア大森林_戦闘(遭遇)
文字数 2,908文字
俺達2年生は教師に連れられてウォルテア大森林の真ん中に来ていた。ウォルテア大森林は無人の森ということもあり道がなかった。俺達は目前に立ちはだかる木の枝や草木をかき分けてやっとここまでたどり着いた。ウォルテア大森林の中は高い木々の葉に覆われていて、昼間のはずなのにほとんど陽が当たらない薄暗い森の中であった。
「諸君、今日は森の真ん中で一夜を明かす。明朝6時から課外授業を開始する。今からは野営の準備を行う。それが終わったら寝るまでの時間は、持ち物を確認したり与えられた資料を読み返したりパーティで作戦立てたりと調整の時間にするといい。自由時間とする。」
ミランダ先生は俺たちにそう告げた。
俺達は野営のために手頃な木の枝を集めたりテントを設営したり水飲み場を確保したりするなど
◇
俺は明日の作戦をパーティのオズワルトとレオノーレと共有するために集まって貰うことにした。
「オズワルト、レオノーレ。明日の作戦について相談したいが時間いいか?」
「もちろんだ」
「いいよ」
「ウォルテア大森林は思った以上に暗くて視界が悪いな。実際に来てみたら想像以上だった」
「同感だ。太陽の光は殆ど届かないし森を抜けるまでの道は、自分たちで木の枝や草木を払って進まなければいけない。その上モンスターにも気をつけなければいけない」
「私はこれでもエルフなので、森は得意。索敵はまかせて」
「それは頼もしい」・・・アレス
「さすがだ」・・・オズワルト
「いえいえ。だけど、モンスターは私一人の手では負えないかもしれません」
「そこは俺達に任せろ」・・・アレス
「だな」・・・オズワルト
「ありがとう。助かります」・・・レオノーレ
「話が変わるけど、先生が言ったこの課外授業の説明に疑問点があるんだ。皆、周りには聞こえないように注意して」・・・アレス
「お?言ってみろ」・・・オズワルト
「先生たちはアカシアハーブを採って戻ってきて欲しいと言ったが、俺達が直接それを採ったかどうかなんて確認しない点だ」
「私もそれ思った」
「つまり直接採りに行って帰ってくると他のパーティから狙われるかもしれないってこと」・・・アレス
「なるほど。実際の戦場ではよく聞くな。そういった卑劣なことを」・・・オズワルト
「うわー。どうしよう?」・・・レオノーレ
「弱いモンスター以外にも学年の他のパーティにも注意を払わないといけない」・・・アレス
「行きは大丈夫だろうけど、帰りが問題か」・・・オズワルト
「だがどのパーティがそういうことを仕掛けてくるのか分からないな」・・・アレス
「私、いい方法思いついた。これなら大丈夫。みんなこっちきて」
「ひそひそ」
「確かに」・・・アレス
「いい案だ」・・・オズワルト
「でしょう!?」
「じゃ明日はそれで行こう」・・・アレス
「おやすみなさい」・・・レオノーレ
「おやすみ」・・・オズワルト
俺達は用意された自身のテントに戻る。そして、明日に備えてゆっくり体を休めた。
◇
そして、次の日。
「諸君、昨晩はよく眠れたか?」
「朝6時になったので課外授業を始める。各パーティ準備はいいか?」
「大丈夫です」・・・2年生一同
「では、スタート」・・・ミランダ先生
各パーティが一同にスタートする。俺達アレス班もスタートする。
「アレス、この勝負は俺達が貰うぜ」・・・ケヴィン
「ケヴィンに、ニコルの班か。凄い面子だな」・・・アレス
「そちらこそ。まさかアレスの班にオズワルトもいるとは思わなかった」・・・ケヴィン
「他にエルフのレオノーレもいるぞ」・・・アレス
「あっ悪い」・・・ケヴィン
「いえいえ、お構いなく。アレスさんとオズワルトさんの優秀さに比べれば、私なんて大したことはありませんので」・・・レオノーレ
「ケヴィン、女性に失礼よ。謝りなさい」・・・ニコル
「何故俺ばかり責める?くっ」・・・ケヴィン
ケヴィンは女難の相でもあるのか、ばつが悪くなりいたたまれず先を急ぐことにした。
「ということで、俺達は先行くからな」・・・ケヴィン
「あっケヴィン待ちなさい」
「私も先急ぐわ。みんな、じゃーね」・・・ニコル
「仲良しのパーティだね。ニコルさん達」・・・レオノーレ
「ああ。んじゃ俺達も急ぐか」・・・アレス
◇
◇
俺達も森を抜けようと先を急いだ。だが、目の前には大量の草や枝が邪魔をして進路を塞いでいた。
「くっ。キリがない」・・・アレス
「薙ぎ払っても、薙ぎ払っても、草が復活しやがる」・・・オズワルト
「オズワルト。魔法で草木を焼いたらどうだ?」・・・アレス
「それはいけません。それに火だと森にも引火しちゃいますよ」・・・レオノーレ
「だよな」・・・アレス
ガサガサガサガサガサガサガサガサ
「んっ、何か音がしたぞ」・・・アレス
「この匂いはゴブリンです。危険です。後ろへ下がって」・・・レオノーレ
「ここは俺に任せろ」・・・オズワルト
オズワルトは胸のペンダントにスキルの宝玉をありったけ詰め込む・・杖(弐)、雷(弐)、氷(弐)、炎(弐)、弱点分析、MP+10%、MP+20%
NAME(名前) オズワルト
才能限界値 7
LV(レベル) 20
HP(体力) 140
MP(魔力) 78(+30%)
SP(スキルポイント) 20
ATK(攻撃) 55(杖+5)
DEF(防御) 30
AGI(素早さ) 50
弱点 ヒューマン
「弱点分析」
「どうやら、ゴブリン1匹のようだ」
NAME(名前) (単体)ゴブリン戦士
LV(レベル) 10
HP(体力) 100
MP(魔力) 0
SP(スキルポイント) 20
ATK(攻撃) 25(槍+10)
DEF(防御) 25(盾+10)
AGI(素早さ) 10(盾-10)
弱点 ゴブリン
「ギィー」
草むらの中から顔を出したのは、一匹のゴブリンだった。その手には盾と槍が握られている。
「そのゴブリンは、恐らくゴブリンの斥候よ。通常、ゴブリンは群れて行動するの。今のうちに仕留めましょう」・・・レオノーレ
「消し炭にしてやる」・・・オズワルト
オズワルトはMPを8消費し、雷(弐)の魔法を唱える。
「喰らえ、サンダラ」・・・オズワルト
オズワルトが呪文を唱えると、たちまち雲の狭間から一筋の青白い閃光がゴブリン目掛けて降り注ぐ。遅れて轟音がこだました。ゴブリンは見る影もなく辺りには焼け焦げた匂いが充満した。
「凄い威力だ。敵なしだな」・・・アレス
「アレスとレオノーレが詠唱する時間を稼いでくれたおかげだ」・・・オズワルト
「とんでもありません」・・・レオノーレ
ガサガサガサガサ
「先を急ごう。今のがゴブリンの斥候なら本隊も近くにいるかもしれない」・・・オズワルト
◆
俺達は先を急いだ。しばらくすると物音がよりはっきり聞こえるようになる。
ガサガサガサガサ
「前方に何かいるぞ」・・・アレス
ガサガサガサガサ
「後ろにも何かいる」・・・オズワルト
ガサガサガサガサガサガサガサガサ
「ごめんなさい、気づくのが遅れました。どうやら囲まれてしまいました」・・・レオノーレ
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どうやら俺達は何者かに囲まれてしまったようだった。