夕刻の鐘

作者 唐乃 楓

[ファンタジー]

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うちに宿を取っている、金持ちの若だんなと召し使いのふたり組。金払いがいいもんで上客には違いない。
「いいかいおまえたち、しっかりおもてなしするんだよ」
あたしは、店の若い衆に言って聞かせた。
「ありゃあ、ただのお金持ちじゃねえ。どこぞのお屋敷さまに違いねえべ」
亭主は言うけれど、あたしの目はごまかせないよ。身なりこそよくても顔はぱっとしないし、田舎臭さの抜けない〈おのぼりさん〉がいいところさ。
それはそうと、召し使いもこれまた冴えない男ときている。でも、こいつが不器用ながらによく働くやつでね。ちょいと仕込んでやればいっぱしの使用人になるかもしれない。
その召し使いは今日も、若だんなに叱られながら両手に籠を引っ提げてせわしなく出かけていく。

ファンレター

走り出してしまった‥

1話完結の短編だと、、くれぐれも自分に言い聞かせて読み始めました。 楓先生の作品らしい世界観はそのままに、 新しい登場人物たちが生き生きと活躍‥いや、走り回っているかのような躍動感、一気に読み切り、 あっという間にゴールしてしまいました。 続きはないのですね。。。 走り出してしまった気持ちが収まりません。 いつかいつか。。

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