伊万里Ⅰ 科学者レオンの話

[歴史]

173

35,063

31件のファンレター

 かつて日本から世界中に運ばれた、「古伊万里」たち。
 その中の一枚のお皿にスポットを当て、オムニバス形式で追う物語を予定しています。

 こちらはその第1話目(全4話)。
 今から約300年前、ドイツ東部のマイセン窯においてヨーロッパ磁器が誕生。発明したのは錬金術師ベトガーとされてきましたが、最近の研究ではもう一人、とある貴族の貢献が明らかになってきました。
 この辺の話は欧米の小説やテレビドラマではたまに取り上げられるようですが、そこに影響を与えた(?)肝心の日本ではあまり知られていないのではないでしょうか。
 というわけで、できるだけ史実に基づいて構成してみました。

 ヨーロッパは近世の始まり。キリスト教の価値観が色濃く残る一方で、多くの著名な科学者を輩出した、まれにみる時代です。そんな空気感もお楽しみいただけますように。
 時代考証等に間違いを発見されたら、ぜひお知らせ下さい!

(表紙画像)
アルブレヒト城(マイセン市)

(主要参考文献)
嶋屋節子「マイセン磁器誕生前史」『藝術研究 第19号』広島芸術学会
ジャネット・グリーソン著 南条竹則訳『マイセン』集英社
マシュー・スチュアート著 桜井直文、朝倉友海訳
『宮廷人と異端者 ライプニッツとスピノザ、そして近代における神』書肆心水
小林素子『近世ドイツの魔女裁判』ミネルヴァ書房

ファンレター

最終話まで拝読しました

あおぞらつばめさん、こんにちは。
ちょっと間が空いてしまいましたが、最後まで読ませていただきました。
やはりあの時代、真実を求めて、理想を求めて試行錯誤することが、これだけ命に直結してしまう、
という点が印象に残ります。
さらに、レオンの母の不遇を代表とした、世間の波。これが根拠の薄い妄信などを拠り所にしている。
抵抗するだけ虚しい。
こういうのはしかし、やっぱり現代でも感じるものですよね。

白磁の透明感と質感が好きなので開発の工程もワクワクできました。
Ⅱも読みたいですが、紹介文だと、Ⅱの先も計画されている!?
今後にも期待ですね。有り難うございました。

返信(1)

村山さん、最後までお読み頂き、ありがとうございました。
この時代の苦労は半端じゃないですね。根拠の薄い妄信であっても、それが権力者であったり、大多数の意見であったりすると、真実を述べて戦うことは命がけ。だけどそれでも戦った先に光があると信じたいし、そういう作品を書いていきたいものです。
この作品では、伊万里の皿の消費と再生産について描いたつもりです。Ⅱでは運搬について。だけど仰る通り、Ⅲ以降なかなか書き進まないのです。何とか頑張ってみたいと思います。
お付き合い頂き、ありがとうございました!