伊万里Ⅰ 科学者レオンの話

[歴史]

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 かつて日本から世界中に運ばれた、「古伊万里」たち。
 その中の一枚のお皿にスポットを当て、オムニバス形式で追う物語を予定しています。

 こちらはその第1話目(全4話)。
 今から約300年前、ドイツ東部のマイセン窯においてヨーロッパ磁器が誕生。発明したのは錬金術師ベトガーとされてきましたが、最近の研究ではもう一人、とある貴族の貢献が明らかになってきました。
 この辺の話は欧米の小説やテレビドラマではたまに取り上げられるようですが、そこに影響を与えた(?)肝心の日本ではあまり知られていないのではないでしょうか。
 というわけで、できるだけ史実に基づいて構成してみました。

 ヨーロッパは近世の始まり。キリスト教の価値観が色濃く残る一方で、多くの著名な科学者を輩出した、まれにみる時代です。そんな空気感もお楽しみいただけますように。
 時代考証等に間違いを発見されたら、ぜひお知らせ下さい!

(表紙画像)
アルブレヒト城(マイセン市)

(主要参考文献)
嶋屋節子「マイセン磁器誕生前史」『藝術研究 第19号』広島芸術学会
ジャネット・グリーソン著 南条竹則訳『マイセン』集英社
マシュー・スチュアート著 桜井直文、朝倉友海訳
『宮廷人と異端者 ライプニッツとスピノザ、そして近代における神』書肆心水
小林素子『近世ドイツの魔女裁判』ミネルヴァ書房

目次

完結 全32話

2021年12月14日 20:59 更新

  1. 一 ドレスデンの王宮にて

  2. 第1話 チルンハウス伯爵の苦悩2021年12月08日
  3. 第2話 懲りない男2021年12月08日
  4. 第3話 錬金術師ヨハン2021年12月08日
  5. 第4話 処刑される!2021年12月08日
  6. 第5話 国王の事情2021年12月08日
  7. 第6話 命がけの救助2021年12月08日
  8. 二 記憶の断片

  9. 第7話 生い立ち2021年12月08日
  10. 第8話 科学者になりたい2021年12月08日
  11. 第9話 不思議な若者2021年12月08日
  12. 第10話 真鍮の棒2021年12月08日
  13. 三 極秘の研究

  14. 第11話 山の古城2021年12月08日
  15. 第12話 錬金術をやってみよう2021年12月08日
  16. 第13話 だまされた2021年12月08日
  17. 第14話 その名はイマリ2021年12月08日
  18. 第15話 アルブム・エト・ペルーキダートゥム2021年12月08日
  19. 四 同時代の科学者たち

  20. 第16話 親友ゲッツへ2021年12月08日
  21. 第17話 スピノザ2021年12月09日
  22. 第18話 せめぎ合いと、決裂2021年12月09日
  23. 第19話 返信2021年12月09日
  24. 五 魔法か、科学か

  25. 第20話 赤い磁器2021年12月09日
  26. 第21話 イマリは科学2021年12月09日
  27. 第22話 奇跡のレンズ2021年12月09日
  28. 第23話 北方の嵐2021年12月10日
  29. 第24話 巨岩の要塞2021年12月10日
  30. 第25話 監禁2021年12月10日
  31. 六 乙女の塔

  32. 第26話 再会、そして再開2021年12月10日
  33. 第27話 灼熱の部屋2021年12月10日
  34. 第28話 石がもたらす魔法2021年12月10日
  35. 第29話 ホイレーカ!2021年10月08日
  36. 第30話 魔女狩り2021年10月08日
  37. 第31話 ヴェリータス・リベラービット・ヴォス2021年12月14日
  38. 七 解

  39. 第32話 Q.E.D2021年12月14日

登場人物

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ファンレター

最終話まで拝読しました

あおぞらつばめさん、こんにちは。 ちょっと間が空いてしまいましたが、最後まで読ませていただきました。 やはりあの時代、真実を求めて、理想を求めて試行錯誤することが、これだけ命に直結してしまう、 という点が印象に残ります。 さらに、レオンの母の不遇を代表とした、世間の波。これが根拠の薄い妄信などを拠り所にしている。 抵抗するだけ虚しい。 こういうのはしかし、やっぱり現代でも感じるものですよね。 白磁の透明感と質感が好きなので開発の工程もワクワクできました。 Ⅱも読みたいですが、 ... 続きを見る

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19話まで

あおぞらつばめさん、「四」まで拝読しました。 19話のラストで、ゲッツの正体が! (これより前にあったら、すみません)  これまでも名だたる自然科学者、哲学者が登場していましたが 主人公のチルンハウスを知らなかったせいか、ゲッツのこともなめてました。すみません。 いや、○○論で気付けよ、というところですが。 今追っている作品に『チ。―地球の運動について―』という魚豊さんの漫画がありますが、 それに負けずとも劣らない展開になっていますね。あちらは神に挑戦していることもあり、よ ... 続きを見る

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10話まで拝読しました。

あおぞらつばめさん、こんばんは。今度は「伊万里」を読ませていただいております。 今、調べたところ、昔は「有田焼」「伊万里焼」などの細かい産地分けはせずに「伊万里焼」という総称だったのですね。 ヨーロッパの好みは華美な装飾、というイメージがあって、若かりし頃はあまり馴染めなかったのですが 着色していない白磁の白に、心を射抜かれたことがあります。それで有田のポーセリンパークにも行きました。 また最近、左巻健男「世界史は化学でできている」を読み、錬金術に興味を持っていました。 ボイル ... 続きを見る

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32話(最終話)まで拝読しました

 わ~、彼が生きてて良かった。もうダメかと思っていたから、暗闇の中に光が射してきた気分です。(それにしても、牢獄がきつかったのか、ずいぶんと人間的に成長が感じられて微笑ましく思ってしまいました)  ユングフェルン稜堡は「乙女の塔」と呼ばれていた、とか実験の最中の「顔の覆い布」とか、さりげなく書かれている知見が凄いですね。灼熱の部屋の描写も圧巻です。滑らかな文章の後ろに隠れた資料の厚みが重厚な読後感を与えている気がします。毎回言っているかも知れないけど、本当にその時代を目の当たりにしている気がし ... 続きを見る

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五、魔法か、科学か 拝読しました

 宜興窯は全然知らなかったのでネットで見てみました。ああ、こんなシックな茶色の磁器なのですね。それにしても、伯爵の気持ちをわからない傍若無人なヨハン、天才ってこんなものかもしれませんね。科学的な話になるとキャラより説明に傾きがちですが、血が通っているというか、キャラが立ってますね。伯爵の焦る気持ちとヨハンの冷ややかな対応がとっても面白いです。釜を高温にしたり、試行錯誤の連続で読んでいて「何が突破口になるのか」ワクワクしました。なるほど!!! 釜に関するいろいろな工夫が会話になじんで、すっと頭に入 ... 続きを見る

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同時代の科学者達を拝読しました。(16~19話拝読)

 凄いなあ、ニュートンって、なんだか近代の人のイメージがありますが、この時代の人なんですね。ホイヘンスの原理のホイヘンスも! ホイヘンスが望遠鏡を作ったのは知りませんでした。長さが3.6メートルもあったんですね。それも鏡筒のない空気望遠鏡! こんなのがあったなんて~~。(空気望遠鏡は観察者が地面に立ってる絵しかなかったのですが、自宅の屋上はどこかに出展があるでしょうか、すみません細かくて)  ニュートンとホイヘンス、彼らの光に関する論争は、その後の量子力学につながっていきますが、実験器具も充分 ... 続きを見る

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7~15話まで読みました

 チルンハウスの生い立ちが波瀾万丈で引きずられるようにして読みました。特にオランダ軍に志願して、フランス軍と対峙するところ、情景や心の動きがリアルに感じられました。(主人公が死ぬはず無いのに、ドキドキしました)天才だけど気まぐれなヨハン。実験している情景はとても興味深かったです。そして入れ込んだ彼から重大な秘密を吐露されてしまったチルンハウスが動揺する場面、こちらまで動揺してしまいました(笑)  チルンハウスの業績については、ここで詳しく書かれていたんですね。前回はいらないことを書いてすみませ ... 続きを見る

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すごい、18世紀のドレスデンだ

 6話まで拝読しました。マイセン関連の話なのですね。  冒頭から錬金術師のヨハンの処刑についての駆け引きに、ワクワクさせられます。ぐっと最初から掴まれる感じがありました。そして、つばめさんは日本だけではなく18世紀の海外(それもドレスデン!? 私には彼の地のイメージすらありません)までも、臨場感あふれる描写をされていて感嘆のため息です。  第5話、チルンハウスが国王に待ったをかけた時に侯爵が「侯爵だけが嘆かわしく額に手を当てている」これ、あっちゃ~って感じが出ていて思わず笑ってしまいました。 ... 続きを見る

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水瀬そらまめ様

そらまめさんの新しい表紙、楽しみ~♪ 私も試行錯誤中です。

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表紙のイメージって大事かも

わたしも明日、時間をかけて変更しようと思います。

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小説情報

伊万里Ⅰ 科学者レオンの話

あおぞらつばめ  AOZORA-TSUBAME

執筆状況
完結
エピソード
32話
種類
一般小説
ジャンル
歴史
タグ
歴史, 科学革命, マイセン, 錬金術, 磁器, ドレスデン, ザクセン, 魔法, 魔女, 発明
総文字数
74,821文字
公開日
2020年05月12日 14:15
最終更新日
2021年12月14日 20:59
ファンレター数
31