夏を染めて

作者 mika

[学園・青春]

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6件のファンレター

第3回『NOVEL DAYS 三題噺バトル』で優秀賞に選んでいただけました。
【お題】浴衣、足跡、ベース
夏休み、古い木造の家へあそびに行く。
はるかは祖母がだいすきで……。

※表紙はAdobe Stockからまるまるさまの作品を使用させていただきました。

ファンレター

爽やかで繊細な、日本の美

mikaさん、受賞おめでとうございます!

摺り友禅師という非常に専門的な、そして後継者問題が深刻そうな職業に就いていたばばちゃんと、その仕事に興味を持つ孫のはるかちゃんの交流が、やさしく細やかで、一読心が洗われるようでした。
小さなアクシデント的な事件とその解決を通して、ばばちゃんが職人としてだけでなく、「先生」としても、とても優れている方だということがわかります^^

今はネットやオンラインで多くのことが学べてしまう時代ですが、やはりそうでないものもある――手が触れ合う距離で、人と人が向かい合う中でこそ伝わるものがあるのだ、というメッセージが、爽やかで美しい夏の一コマの中に凝縮されているように感じました(*^^*)

返信(1)

南ノさん、どうもありがとうございます!

「今はネットやオンラインで多くのことが学べてしまう時代」というのは、たしかにその通りですよね。
南ノさんが『台灣懶惰日記~其の貳~』で「8月26日 外国語って難しい!」でも書いておられたように、人と人でなければ学べないものって、たくさんあると思います。
無料でさまざまな知識が手に入るようになった現代だからこそ、確かな知識や豊かな経験をもつ人の価値というのが、むしろ高まっているように思います。
南ノさんがおっしゃる通り、「手が触れ合う距離で、人と人が向かい合う中でこそ伝わるもの」って、すごく貴重だなと感じます。

今回のお話は、わたし自身が京都の摺り友禅師さんからご指導いただいて、半衿を染めた経験をもとにしています。
先週、第69回日本伝統工芸展を見に行ってきまして、そこでも摺り友禅で染められた美しい訪問着が何点か展示されていました。
自分で実際に体験してみますと、こうして展覧会を見る際にも、解像度が高くなるような気がします。
色ごとに型紙を変える必要があると知っているので、この総柄を染めあげるのに数百枚もの型紙を使ったんだろうな、と想像できます。
職人さんの長年の研鑽に対する尊敬の気持ちが深まりますね。

とは言え、「後継者問題が深刻そう」というのは、おっしゃる通りで、難しいですよね。
わたしの知り合いの藍染職人さんに、最近、若い女性のお弟子さんができたんですよ。娘さんやお孫さんではないそうで、伝統工芸の世界は独り立ちするまでが長い上に、一人前になっても経済的に安定するか未知数なところがあるので、どうか途中であきらめず続けてほしいと思います。

お祝いの言葉を寄せてくださり、本当にどうもありがとうございます!