第3章

文字数 875文字

2020年5月7日のブログより

 第3章まで読み終わりました。この章は20ページほどで、これで全部で97ページまで読み終えたことになります。

 第3章は今までの章とは違ってある家族についての物語です。この章で主人公の女性はマドリードで貴族のような生活をしていました。大きな屋敷で使用人に囲まれて生活し、その屋敷の廊下は美術館のように絵が飾られて、彼女のお母さんはたくさんのドレスや装飾品を持ち、パーティーの時には庭にオーケストラを呼んで100人以上招待客が来るという夢のような生活です。

 特にお母さんがワイン色のドレスをパリの特別な工房に注文して作らせた、という部分を読んで胸が痛みました。別に私はパーティーやドレスに特別執着があるわけではありません。でもある過去世が、パリの工房に注文したドレスという言葉に激しく反応してしまいました。

 その過去世は100年ほど前のスウェーデンの農婦でした。当時のスウェーデンは今と違って福祉大国ではなく貧富の差も大きかったです。彼女は畑仕事の他にお金持ちの家に行ってそこの奥様ドレスを縫う仕事もしていました。自分はけっして着ることのないドレスを縫い、憧れのフランスの家具がたくさん置いてある家で働いていたのです。憧れ続けたフランスのパリ、その記憶が本を読んで呼び覚まされてしまいました。

 でもよく読むとその家族はあまり幸せそうではありませんでした。独裁政権下で妬みや裏切りも多い中、お父さんは刑務所で働いて出世しましたが、命を狙われたりします。そしてお母さんは重い病気にかかり寝たきりの状態になります。

 憧れ続けた(過去世で)フランスパリの工房に注文したドレスを持っているのに、どうしてこの家族はこんなに不幸なの!と変に感情移入して胸が痛くなりました。

 この小説はフェルミンのところでもそうでしたが、壮絶な体験や悪魔のような人に出会っても、その反対の誠実で思いやりのある人も登場するのでそれで救われます。特別な人でなくても誠実に生きてきた人の極限状況での深い思いやり、そんな物語を読んで人間はいいなと改めて思いました。

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