第8話

文字数 797文字

さて、陰の正統派の信仰を、教会生活のさまざまな面を通して見てきましたが、これは冒頭に述べましたように、もともと陰に隠れていたものですが、だんだんと教会内で中心的な存在となり、多数派となっていきます。
考えてみれば、それは当然の結果といえるでしょう。

彼らは日曜日に喜んで教会にやってきます。出席率も当然高くなります。奉仕や献金も決して無茶をせず、自分のできる範囲のことをしますから、非常に安定しており、教会の信頼できる奉仕者、献金者になります。

そして何よりも信仰の火を燃やす雰囲気を大切にしますから、教会のムードメーカーになります。常識的で礼儀正しく、にこやかで謙遜で寛容ですから、教会の初心者も安心することができます。

また、常識的で分をわきまえていますから、おこりそうもないことを祈ったり、無理な伝道をしたり、変な聖書解釈をしたりしないので、その信仰状態や生活状態は非常に穏やかであり、信者が陥りがちなスランプも少なくてすみます。

たとえば、常軌を逸した熱心さをもつ人や、自分の力を超えてさかんに奉仕する人や、やたらと伝道する人などは、一時的には非常に有望ですばらしく見えたりしますが、すぐに醒めてしまったり、教会を離れたりして、いつのまにか教会から消えていくものです。

やはり、地に足がついた信仰生活を送る陰の正統派こそ、最も安定したしあわせな地上の生涯を送り、死後も確実に天国が約束されているクリスチャンだと言えるのではないでしょうか。

こうして、陰の正統派は教会の中心的な多数派となり、教会のムードを決める存在になります。
ですから、陰の正統派になった人や、彼らに受け入れられた人にとっては、教会はとても居心地のいい場所になります。

しかし、陰の正統派になれない人や彼らに溶け込めない人は、いつの間にか教会から遠ざかったり、彼らに受け入れられず、やんわりと追い出されて去っていくようなことになります。
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