第5話

文字数 469文字

②陰の正統派と説教

前述のように彼らは、自分の信仰の火を再び燃えたたせるために教会にやってきています。
彼らは一週間の『この世の旅路』で、信仰の火は弱まり、神を見る心の眼はくもり、魂はこの世の汚れに侵されています。

ですから彼らは説教というものを、自らの信仰の火が強められ、眼が洗われ、魂がきよめられるためのものとして聞いていますから、その説教の内容いかんにかかわらず「いいお話でした。ありがとうございました」という感謝の気持ちをもつことになります。

とはいえ、やはり例えば地味にこつこつと細かいことばの説明などをする講解説教などは苦手としています。
彼らが最も好むのは、牧師の内面の熱心さ、ひたむきさ、霊的な情熱がほとばしり伝わってくる説教であり、その勢いで、自分の弱い火を燃えたたせてしまうような説教です。

彼ら陰の正統派にとって『牧師』とは、教会の中で最も大きく強い火を燃えたたせている中心的な薪であって、彼らの小さく弱い火を強める役目をする者でなければならないのです。ですから、そういう役目を果たすことのできない者を、牧師とは思えないのです。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み