6：きちゃった♪
文字数 2,578文字
それじゃ仕事に行ってくる。帰りは電気屋に寄ってくるから。
お前が戻るまで何をしてればいい？ エアコンするならランプから出ていないといけないから暇なんだ。
別に自由にしててくれていいぞ。
ランプに縛られてた存在に対して「自由にしろ」と？
すまない、失言だ。そう言えば昔アニメで見たな。やはりランプの魔神は自由に憧れているのか？
別に叶うと思ってないから、そこまででもないよ。
そうか。
それで、今日の過ごし方の話だったな。掃除や洗濯はどうだ？
それはエアコンの範疇じゃないぞ……
最新式のエアコンならそれくらい簡単に……
嘘をつくな。
……まぁサービスだ、適当にやっといてやる。
助かる。それと、朝食うまかったぞ。ごちそうさま。
それはさっきも聞いたぞ。なんども言うな、こっ恥ずかしい。
ははは、いってきます。
――バタン
まったく……
さて、それじゃまずは洗濯……か。
とは言っても、どうすればいいんだ……？
魔法を使えば一瞬だが……それだと暇潰しにならないからな……
あ、そうだ。こういう時こそアレだ！
（えっと、ランプのどの辺にしまったっけな………………あ、あった！）
『ランプの魔神大辞典』！！
ここにはランプの魔神としてあらゆる願い事に対応できるように、古今東西の様々な事柄が記載されている。
これなら洗濯の方法もわかるだろう。
さて、洗濯は……68ページか。うちの洗濯機の型番がこれだから…………これだ！
よし、それじゃとっとと始めるか！ 早く干さないと生乾きになるかもしれないからな！
＊ ＊ ＊
よし、完璧だ。我ながら素晴らしい仕事をしたな。
私って思ったよりも家事が得意なのかもしれないな。
よし、次は掃除だな。掃除は……えっと、321ページか。どれどれ……
気になる男子のお部屋を掃除！ 恋する乙女なら誰もが妄想しちゃうよねっ！ もしかしたら脱ぎっぱなしの服や下着なんかがあるかも……！？ でも欲に負けて嗅いだりしたら駄目だよ☆ 汗くさいかもしれないからねー(*^o^*)
なんだこれ。
それじゃ前置きはこのくらいにして、早速お掃除を始めよう！ いぇい！
まずはベッドの下をチェックしてみてね！ 気になるあの人の意外な一面が見つかるかもしれないよ！ アブノーマルでも受け入れてあげてね！
………この家はベッドじゃなくて敷布団しかないな。あ、敷布団はこっちのページに書いてあるのか。
敷布団は3つに折りたたんで押入れにしまいます。なお、通常は週に1～2度ほど天日干しすると良いですが、持ち主の趣向によっても異なるため注意しましょう。
…………書いてる人変わった？
＊ ＊ ＊
ふぅ、こんなもんかな。パッと見は綺麗にしてたが細かい所はホコリが積もってたな。男はそんなもんなのか？
っと、まだ昼か。思ったより早く終わってしまったが……さて、どうしたもんか。
別に飯は食わなくてもいいけど……ん？
ピンポーン
客か……困ったな。そう言えば来客時はどうすればいいか聞いてなかったぞ。
ピンポンポーン
まぁ、下手にガラを知っている人物だと困るし居留守が無難か……？
ピンポッポーン ピンポッポーン
……………
ピンポポポポポンポンポポポン ポポポンポンポンポンポポン
ピンポッポン ピンポッポン ピンポッポッポッポッポッポン
ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポンポンポンポンポンポン
ポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポ
あー、もう！ うるさいぞ！！
ガチャ
あら、こんにちは。ここはガラのおうちであってるかしら？
ああ、あっているが……むしろ確証も無いのにピンポン連打してたのか。
間違ってたら謝れば大丈夫よ。
そういう問題か……？
ところで、あなたはどちらさま？
あーーーーー、えっと……………
（どうする……どうもガラの知り合いっぽい雰囲気だ。下手に家族を装わない方が良いな……となれば不本意ではあるが……）
が、ガラの恋人です。
あらー、彼女さんなのねー。はじめまして。
私はガラの母です。
あ、お母様でしたか。どうぞ中にお入りください。
（セェェェェェェェェフ！！）
うふふ、ありがとう。
あら、ガラは留守かしら？
えっ？ はい、仕事に出ていますが。
えー、そうなの？ ちゃんと連絡したのにー。
変ですね。朝は何も言ってなかったんですが……忘れてたんでしょうか。
まぁいいわ。夜には帰ってくるのよね。
ね、ね、それよりあなた、名前は？
クァーニャです。
あら、可愛らしい名前！
私はユキコって言うんだけど、お義母さんって呼んでいいわよ。
え、あ、いや……それは……！
ほらほら、呼んでみて！
あう、あ、お、おかぁさん……
きゃー！！ 可愛いわぁー！！！
ぅぅぅぅぅ………
クァーニャちゃんって学生さん？ それともお仕事してるのかしら。
えっと、今はえあこ……じゃなくて、学生です、ね。夏休みです。
あら、そうだったのねぇ。大学生？
そうですね。そんな感じです。
そっかそっか！ んー、いいわねぇ若いって。
（本当はあなたより年上だがな）
あ、なんかお腹すいてきたわ。
クァーニャちゃんはお昼って食べちゃった？
いえ、まだですけど。
よし！ それなら一緒に食べましょうか。ちょっと台所借りるわね。
あ、いえ、そんなお構いなく！
良いから良いから♪
（すごいマイペースだなぁ……ある意味ガラに似てるのか）
あら、カレーが残ってるわね。
はい、昨晩はカレーでした。ガラが作ってくれたんです。
そっかぁ……カレーかー。うふふ。
？？？
それじゃクァーニャちゃんはちょっと待っててね！
は、はい……
＊ ＊ ＊
じゃーん！ カレーうどーん！
おおおお…………
さ、食べて食べて。自慢じゃないけど結構美味しいはずよ。
いただきます。
はい、召し上がれ。
お……
おんまぁーーーい！！！！
おいひぃ！ おいひぃ！ ずるずる……
……………はっ！
うふふふふ。
あ、すみません……その、凄く美味しいです。
いいわよー。そんなに美味しそうに食べてもらえるなら私も幸せだわぁ。
と言っても、カレーはガラが作ったんだけどね。
いやいや、うどんダシがカレーにあってて最高です！ これはおか……ユキコさんだから美味しく作れたんですよ！
ずるずる。うまうま。
あら、嬉しいわぁ。ほんとクァーニャちゃんは良い子ねぇ。
………あの子も、カレーが好きだったわねぇ………
ん？ あの子って……
……ん、なんでもないわ。
それよりも私も熱い内に食べちゃわないとね！
いただきまーす。
？？？
