(四)-2

文字数 253文字

 悦子には聞いたことのある声だった。恋人の青井岳だった。
「岳!」
 悦子がそう言った。
 すると、発砲音が一回鳴り響いた。悦子の右隣にいた芙美恵が倒れて壁にもたれかかり、そのままの状態で地面に崩れ落ちた。
 悦子がそちらを見ると、芙美恵は頭を撃たれていた。狙撃だった。
「三人だけか」
 岳が尋ねて来た。「そうだ」と悦子は答えた。
「もっと大勢引き連れて来てくれることを期待したんだがな。思い通りにはいかないか」
「何を言っている!」
「ちなみに俺の名前は青井岳(がく)ではない。錦江(にしきえ)隼人(はやと)だ」

(続く)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み