第6話 巨大地下施設

文字数 656文字

施設 その1 

「痛ってーー!!」

 下へ落ちた拍子に頭を地面でしたたかに打った。
 正直、気を失いそうだった。
 眩暈がまだ酷かった。
 一体。どれだけ落ちるんだよ。
 吐き気も酷い……。

「く、暗くて前が見えんよ……ここ、どこだろ?」 

 倒れた状態では仕方がないので、取り敢えず立ってみた。
 痛めた頭は天井などにはぶつかっていない。
 涼しい風が西の方からビュウビュウと吹いていた。

「うー、なんか肌寒いな」

 耳をすませば風の音以外にも何かの駆動音が聞こえ、遥か西の方から明かりが点いた。

「こ、ここは……ルーマニアにあるサリーナ・トゥルダみたいだな……いや……岩塩抗だ……」

 大きな観覧車や至るところに線路が伸びていた。
 風の音は強くなって寒さが増した。
 無人のテーマパークのような岩塩抗。
 そこは巨大地下施設だった。

「こんなところに……一人で……冗談じゃなねえーーー!! 電話繋がるかよ!!」

 慌ててパイプクリーナーと工具箱を投げ出して、携帯電話を取り出した。

 予想していた通り電波は圏外だった。

「飯は?! トイレは?! そんなのあるかってんだ?!」

 勢い携帯電話を地面に叩き落そうとして、思い止まった。
 誰かいるかも知れない。
  
「はあ、なんなんだよ。風呂もねえし」

 パイプクリーナーはここで捨てて、念のため工具箱を持つ。
 愚痴をいいながら、仕方なく西の方の明かりへと歩いて行くことにした。
 地面は線路が複雑に絡まっていて、歩きにくい。
 時々、足を取られた。
 西の方から吹く涼しい風は、今では北風のように寒いだけとなった。
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