第5話 到着
文字数 731文字
太陽が少し西に傾いた頃、ようやくミラーレイクキャンプ場に到着した。
全員車から降り、深呼吸して身体を伸ばした。
トムがジーンズの尻ポケットから、煙草とマッチを取り出したが、少し考えてもとに戻した。
それほど空気が清々しくておいしい。女心を踏みにじる冷たい彼に不信感を持っていたアマンダだったが、喫煙しなかったことに感心した。
「あ、スマホ使えなくなった」
メアリーが頬を膨らませる。
「だからここは電波が届かないって言っただろ。そんなもんなくても充分楽しめるさ」
マイケルはニヤッと笑い、ベビーピンクのピチピチTシャツと白いホットパンツのナイスバディに視線を這わせた。だが、彼女がスマホを片付け、荷物の中から引っ張り出したフルジップのパーカーを羽織ると、あからさまに残念な表情を浮かべた。
――ああ~もう、見てらんないわ。
アマンダは目を逸らせ、広大な湖の景色を眺めた。
針葉樹に囲まれた湖面は名の通り鏡のようで、透き通る青空とそこに浮かぶ白い雲が映り込み、面白みのない現実を忘れさせてくれる輝きに満ちていた。
嫌々参加したはずなのに、アマンダの心は早くもワクワクしていた。隣に立つジョシュの優しく熱い眼差しも高揚感に拍車をかける。
メアリーが期待に満ちた笑みを浮かべ、こっちを見ていることに気づき、アマンダは目を伏せた。
――横取りなんてしなければ、ほんといい娘 なんだけど。でも、もしも、もしもよ、メアリーの悪い癖がすでに直っていたら? もしもマイケルに夢中になって、もうわたしに構わなくなったら? もしそうなったらわたし、ジョシュの熱い眼差しを受け取ってもいいんじゃないかな?
アマンダの心にきゅんと甘酸っぱさが広がった。
だが、それはほんのひと時の間だった。
全員車から降り、深呼吸して身体を伸ばした。
トムがジーンズの尻ポケットから、煙草とマッチを取り出したが、少し考えてもとに戻した。
それほど空気が清々しくておいしい。女心を踏みにじる冷たい彼に不信感を持っていたアマンダだったが、喫煙しなかったことに感心した。
「あ、スマホ使えなくなった」
メアリーが頬を膨らませる。
「だからここは電波が届かないって言っただろ。そんなもんなくても充分楽しめるさ」
マイケルはニヤッと笑い、ベビーピンクのピチピチTシャツと白いホットパンツのナイスバディに視線を這わせた。だが、彼女がスマホを片付け、荷物の中から引っ張り出したフルジップのパーカーを羽織ると、あからさまに残念な表情を浮かべた。
――ああ~もう、見てらんないわ。
アマンダは目を逸らせ、広大な湖の景色を眺めた。
針葉樹に囲まれた湖面は名の通り鏡のようで、透き通る青空とそこに浮かぶ白い雲が映り込み、面白みのない現実を忘れさせてくれる輝きに満ちていた。
嫌々参加したはずなのに、アマンダの心は早くもワクワクしていた。隣に立つジョシュの優しく熱い眼差しも高揚感に拍車をかける。
メアリーが期待に満ちた笑みを浮かべ、こっちを見ていることに気づき、アマンダは目を伏せた。
――横取りなんてしなければ、ほんといい
アマンダの心にきゅんと甘酸っぱさが広がった。
だが、それはほんのひと時の間だった。