第2話

文字数 419文字

いらぬ船に乗ってしまった。
そう思いながらも、聡は一応早紀との約束を守るため、隙を見て祐輔と二人きりになった。

「なぁ、祐輔。お前、前に黒髪ロングヘアの女の子が好きって言ってたじゃん?」
「え?何、急に。言ったけど」

戸惑いつつも笑ってくれる祐輔に、聡は「だよな」と心で同情する。

「他に何か無いの?好きなタイプ」
「え~……、黒髪ロング以外に?」
「うん」
「ん~……」

こめかみに指を当て、一休さんがとんちを考えるようにポクポクと思いを巡らせた後、祐輔はポンと手を叩いて、ビシッと人差し指を指して言った。

「俺、ミステリアスな子がいいわ!」
「は?何それ。不思議ちゃんってこと?」
「いや、そういうホワホワしてる系じゃなくて、何ていうの、神秘的な方のミステリアス!」
「……。はぁ~……」
「おい!聞いといて何で溜め息つくんだよ!」

グリグリと鳩尾に軽くパンチを食らわせながら無邪気に飛びついてくる祐輔を余所に、聡は人知れず「どうしたもんかなぁ……」と天を仰いだ。
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