第7話

文字数 327文字

しばらくして、祐輔は以前の明るさを取り戻した。
聡が帰り道で早紀に注意してからは、早紀からの謝罪こそ無いものの迷惑行為自体はパタリと止んだそうだ。

「ありがとな、聡」
「いいよ、別に。何かこっちこそごめんな」

“じゃあ”と言って、部室の方に消えていく祐輔を見送り、聡もゲタ箱の靴に手をかける。
すると、不意にトントンと背後から叩かれる肩。
クルリと聡が振り返ると、そこには早紀が立っていた。

「よ!」
「お前……、髪……」
「うん!思い切ってショートにしちゃった!聡はショートが好きって言ってたもんね」
「え……」

恋とはまた違う心音の煩さが、聡の体を襲う。

「あ、いや!別に、あんたのために切ったわけじゃないんだからね!」

照れ惑う早紀を見て、聡はただただ、嫌な予感がした――。
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