#05-008「世界の真実を垣間見る」

文字数 566文字

 アキ――!

 ミキは串刺しにされたアキを見上げて、思わず叫んだ。

「ミキ……これで、いいんだよ」
「馬鹿言うな!」

 深淵なるものはその右肩から腰まで刃が入っていた。どう見ても即死級のダメージである。

『よくやりましたね』

 彼女はそう言い、くずおれる。アキも槍ごと投げ出された。ミキは槍を突き立てられたままのアキを抱きかかえ、その頬を何度も叩いた。

「触覚ないんだってば。視界が揺れるだけだから、やめてくれない?」

 力なく抗議するアキの頭を、ミキが抱えた。

「八木博士、なぜアキを」
『心配には……及びません』

 八木の姿に戻った深淵なるものは、微笑んだ。

『私が消えれば、すべての約束は、履行されます』
「犠牲を防げるんだね……」

 アキの両目の青い光が薄れていく。

『……そうです』

 八木の言葉には力がなく――そしてそのまま光と化した。

「アキ! アタシを置いていくなよ!」
「だいじょうぶ……。ちょっと、再起動、してくるね」
「馬鹿、寝ぼけてるのか!」
「眠たいってのは、こんな感じ……なのかなぁ?」
「アキ! ダメだ、起きろ。目を覚ませ!」

 ミキはアキの胸に刺さった槍を引き抜いて捨てる。血が噴き出ることはない。ただ、光があふれるだけだ。

 視界が光で埋め尽くされそうになったその瞬間、ミキは見た。

「まさか――」

 ミキが見たのは、光に消えていく()()()姿()だった。
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登場人物紹介

アキ。本作の主人公。

ほぼ全身を義体化した、機械化人間(マキナドール)。近接戦闘を得意とする。無茶と無鉄砲を足して二で割ったような性格。

ミキ。

アキの相棒。こちらも機械化人間(マキナドール)だが、ミキが得意とするのは中長距離での砲撃・銃撃戦闘。また、超重装甲。

アキのサポート役に回ることが多いが、単騎でのミッションもしばしばある。

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