第5話

文字数 1,067文字

森の中
私も今食べ終わったところだ。いつでもいいぞ。」
僕は玄関に行きリュックを背負い外に出る。部屋の中でもスニーカーでいて良
かった。
朝ご飯は、オレンジジュースにサラダそれにお皿に山盛りのグラノーラにこ
れでもかというほど溢れるほど牛乳を入れた。ファタ用にドールハウスの小さ
なコップにオレンジジュースを入れ、ドールハウスのお皿にグラノーラを入れ
る。朝ご飯を食べ終え、部屋に戻ると、ファタはまだ寝ていた。なんだかすご
く苦しそうな顔をしている。「うんうん。」とうなっているし悪い夢でも見てい
るのかもしれない。
「ファタ、起きて!!」
「う・・・う、もう朝か。」
「なんかすごくうなされていたけど大丈夫?」
「問題ない。時間が惜しい。さあ、カイ森に行くぞ。」
窓を開けて外に出ようとする。様子がおかしい。ファイが焦っているように見
える。
「待ってよ。ファタ、まだ朝ご飯食べてないじゃないか。腹が減っては戦がで
きぬだよ。」
「戦いなんて物騒な事しない。何を言っている。」
ファタは不思議そうな顔をしている。
「ものの例えだよ。僕はまだ準備することあるからその間に食べられるよ。」
僕はキャップをかぶり、ポケットがある長袖のポロシャツとジーンズに着替
えた。リュックの中にスマートフォン、グラノーラにペットボトルに入った水
それにナイフを入れる。森の中行くのにこれだけあればなんとかなるだろう。
「ファタ、行くよ。」裏の森に行くのは始めて。針葉樹が多く、なんだか近寄り
がたい感じがする。
森の中にもクモの巣が大量に張られている。ところどころカサカサと音を立て
て歩いているクモもいて、一層不気味さが際立っている。童話の『ヘンゼルと
グレーテル』に出てくる森のような不気味さがある。本当に奥に魔女が住んで
いるのではないかと心配になってきた。威勢よく出かけたはいいものの心配に
なってきた。前を飛んでいるファタを見ると昨日より顔が険しく見える。しか
もクモの巣にぜんぜん引っかかっていない。ファタを見ると僕もしっかりしな
ければと思う。僕はファタに遅れを取らないように速度を上げる。ファタが通
りやすように近くにあるクモの巣をナイフで手当たり次第切っていく。僕は切
りながら考える。ファタはなんで昨日ああ言ったのだろうと。
「何。言いたいことがあれば言ったら?」
ファタが僕の心を読んだかのように言う。そう言いながらもファタはスピード
を緩めようとしない。こんな時にいや、こんな時だからこそ聞きたいのかもし
れない。僕は疑問に思っていた事を聞いてみた。
「ねえ、そうして君たち妖精は僕たち人間が嫌いなの?」
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登場人物紹介

カイ

日本のごく普通の大学生。イギリス人の祖父母を持つクオーターであり、そのためか少し見た目を気にしている。大学の長い夏休みを利用して祖父母が住むイギリスの田舎町に遊びに行く。田舎町では子どもが少ないから可愛がられている。とあることがきっかけで妖精と出会う。

ファタ

妖精の国の女王である。気が強い。人間であるカイと出会い行動をともにする。人間が嫌いだが、カイのことは信頼している。カイからもらったグラノーラが大好物。

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