第1話

文字数 332文字

ぷ、ぴー。
ぷ、ぷ、ぴー。

こちら太陽系。銀河の星のひとつ。
この小さな星の地表から君の星へ。通信を試みる。

ぷ、ぴー。
ぷ、ぴー。

あの瞬く星のどこか。
この何でもない星から、あの彼方の星まで。

応答願う、応答願う、応答願う…。




ケントは宇宙船の中で、不思議な音を聞いた気がした。

船員がケントだけの小さな宇宙船には、操縦室の椅子は一席しかない。

その席の背をひと蹴りすれば、すいーっと平行移動する身体を、
でんぐり返しに二転三転させることも、
体操選手に劣らないひねり技で、回転することもできた。

回転の末に、ケントは宇宙服のグローブの指を、宇宙船の窓枠に引っ掛けた。

頭以外の身体を壁にひっつけて、トカゲみたいに張り付き、小窓を覗き込む。

宇宙船は、ひとつの星の脇を通り過ぎるところだった。
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