(三)-2

文字数 384文字

「副川通運です」
 ドアの向こうから声が聞こえた。
 副川通運は西日本を拠点に法人向けの配送をしている業者だ。個配もしているが、あまり利用されていない。それは大手の宅配業者よりも運賃が安いが、不便だからだ。特に土日の配達をしておらず、個人利用者からは不満が多い会社であった。
 実際、アナゾンで買った物がなかなか届かないと思ったら、土日祝日の宅配をしていないために、荷物を受け取るのが三日後の連休明けになったということもあった。それ以来、この宅配業者を警戒していた。
 その業者が、何故か今、うちに来ている。なにかの間違いのはずだ。
 スコープを覗きながら「今開けまーす」と応えると、スコープの前の野球帽の男性が荷物を下に置いた。そして背後の方へ手でなにやら合図をした。するとトラックの閉じられていた片側のドアが開き、中からプロテクターを付けた警察官が何人も下りてきた。

(続く)
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