第8話(番外編1)谷の図書館で数学の宿題
文字数 1,897文字
M市立C中学校とM大付属中学の合唱部の子供たちの合唱コンクールを通じた「恋愛?」とはいかないまでもほのぼのな交流のお話です。
エイコ達M市立C中学校1年生の女子3人組は、C中学からM大付属中学のほうへ坂を下った谷にある公立図書館に集合していました。
部活はコンクール一直線でそれ以外のことは後回しになりがちでしたが、当然ながら、学校の授業というものは淡々と進んでおり、中学校ですから、数学なんていうものもあり、そして、宿題も定期テストもあるのですね・・・。
「部活も忙しいけど、いつの間にか定期テストが目の前っていうのはしんどいよね。」C中学校女子3人組のひとり、サキコはいまさらながら愚痴りました。
「ねえ、これどうやったらいいの?なんでこうなるの?」いつもやさしいヒロコがサキコとエイコに質問しました。
「うーん、これは・・・、うちのクラス担当の数学の先生はこんな感じで板書していたよ。」エイコはカバンから数学の授業ノートを引っ張り出して、方程式の解き方に関する解説をメモしたページを示しました。
「わ、かわいい!わかりやすい!」ヒロコが喜んでくれました。
エイコは基本真面目なのですが、たまたま、このページには丸と三角で顔ととんがり帽子を即席でこしらえたキャラクターの漫画的フキダシから「文章題のわからない数字をとりあえずXってことにして、文章の通りに式を作ってしまうんだよ。」とかなんとか、授業中に先生が語った説明を漫画的に書き込んでいました。
先生に見られたら、「何漫画描いてるんだ!?」と、怒られそうですけどね。
そこまではよかったのですが、「じゃあ、これはどうしたらいいの?」と、サキコがカバンから引っ張り出してきた問題集には、見慣れない複雑そうな応用問題が・・・。
ヒロコに数学の授業ノートをほめてもらった手前、何とかその難しそうな問題を解説しようとエイコは鉛筆を片手に問題文を凝視しますが・・・どこからほぐしたらいいのでしょう・・・じっと見つめるサキコとヒロコにいいところを見せたいと、焦るばかりで・・・うーん・・・。
図書館の大き目のテーブルで頭を寄せ合って、考え込むC中学女子3人組の頭上から、からかうような声がしました。
「誰が何を相談しているのかと思ったら、C中学の子たちじゃない。」
なんと、M大付属中学のソプラノの女王ヤスコです。
「今頃このレベル?しょうがないわねえ、ちょっと貸しなさいよ。」
ヤスコは強引にエイコから鉛筆とメモを借り受けると、サラサラサラーと、魔法のごとく式を立て、ちゃっちゃと計算して解答の出来上がり!ああ、なんて鮮やか・・・悔しいけど・・・すごい。C中学の女子3人組は息をのみました。
今度は男子の声がしました。
「ヤスコ、そろそろ帰ろうよ。」
ノリオです。
「うちも定期試験前だよ。早く帰らないと、それこそ親に怒られるよ。」
「だって、うちの付属中の図書館には『刑事○○』のノベライズがないんですもの。」「だからなんで、試験前に!?」「いいじゃない、もう来ちゃったんだから。」
ヤスコは刑事ドラマのノベライズコーナーから何冊もシリーズ小説を見つけ出し、「じゃあ、またね!」と、貸出カウンターへ向かいました。
ノリオもにっこり、エイコ達に会釈してからエイコ達のテーブルを離れ、急いでヤスコについて行きました。
「借りて帰ったってことは、返しに来るってことよね・・・」サキコは、ややこしいことにならななければいいがと、首をすくめてエイコとヒロコの同意を求めるように目くばせしました。
「大丈夫大丈夫、私たちだって、今日はたまたまだし、今度宿題やるときには、よかったら、私のうちに集まらない?」ヒロコは次の宿題会の提案。
エイコはというと、合唱における度胸も満点の付属中の女王ヤスコが、県大会の別れ際に、「ノリオを独占したりしない」とかなんとか、殊勝なことを言ってたくせに、しっかりノリオを引き連れて、エイコ達のお気に入りのテリトリーに現れたことに、敗北感というかなんというか・・・(女王ヤスコ、あなどりがたし!数学の実力まで負けて、ちょっと、私の立つ瀬がないんですけど!)
合唱コンクールも敗北、数学も負けてるっぽい・・・!?
エイコのなりふり構わない変顔魂、数学にもさく裂しそうです・・・?
(なによ!試験前に『刑事○○』などという娯楽本を3冊も借りるだなんて、余裕ぶっちゃって!!かっこよすぎる・・・。私はどうせ凡人よ、ガリ勉してやるぅ・・・!!)
部活だけでなくやっと勉強する気になりそうなエイコ?娘の不勉強を心配するエイコの母親が聞いたらめっちゃ喜びそうな展開。
ヤスコさん
いい仕事してますね。
エイコ達M市立C中学校1年生の女子3人組は、C中学からM大付属中学のほうへ坂を下った谷にある公立図書館に集合していました。
部活はコンクール一直線でそれ以外のことは後回しになりがちでしたが、当然ながら、学校の授業というものは淡々と進んでおり、中学校ですから、数学なんていうものもあり、そして、宿題も定期テストもあるのですね・・・。
「部活も忙しいけど、いつの間にか定期テストが目の前っていうのはしんどいよね。」C中学校女子3人組のひとり、サキコはいまさらながら愚痴りました。
「ねえ、これどうやったらいいの?なんでこうなるの?」いつもやさしいヒロコがサキコとエイコに質問しました。
「うーん、これは・・・、うちのクラス担当の数学の先生はこんな感じで板書していたよ。」エイコはカバンから数学の授業ノートを引っ張り出して、方程式の解き方に関する解説をメモしたページを示しました。
「わ、かわいい!わかりやすい!」ヒロコが喜んでくれました。
エイコは基本真面目なのですが、たまたま、このページには丸と三角で顔ととんがり帽子を即席でこしらえたキャラクターの漫画的フキダシから「文章題のわからない数字をとりあえずXってことにして、文章の通りに式を作ってしまうんだよ。」とかなんとか、授業中に先生が語った説明を漫画的に書き込んでいました。
先生に見られたら、「何漫画描いてるんだ!?」と、怒られそうですけどね。
そこまではよかったのですが、「じゃあ、これはどうしたらいいの?」と、サキコがカバンから引っ張り出してきた問題集には、見慣れない複雑そうな応用問題が・・・。
ヒロコに数学の授業ノートをほめてもらった手前、何とかその難しそうな問題を解説しようとエイコは鉛筆を片手に問題文を凝視しますが・・・どこからほぐしたらいいのでしょう・・・じっと見つめるサキコとヒロコにいいところを見せたいと、焦るばかりで・・・うーん・・・。
図書館の大き目のテーブルで頭を寄せ合って、考え込むC中学女子3人組の頭上から、からかうような声がしました。
「誰が何を相談しているのかと思ったら、C中学の子たちじゃない。」
なんと、M大付属中学のソプラノの女王ヤスコです。
「今頃このレベル?しょうがないわねえ、ちょっと貸しなさいよ。」
ヤスコは強引にエイコから鉛筆とメモを借り受けると、サラサラサラーと、魔法のごとく式を立て、ちゃっちゃと計算して解答の出来上がり!ああ、なんて鮮やか・・・悔しいけど・・・すごい。C中学の女子3人組は息をのみました。
今度は男子の声がしました。
「ヤスコ、そろそろ帰ろうよ。」
ノリオです。
「うちも定期試験前だよ。早く帰らないと、それこそ親に怒られるよ。」
「だって、うちの付属中の図書館には『刑事○○』のノベライズがないんですもの。」「だからなんで、試験前に!?」「いいじゃない、もう来ちゃったんだから。」
ヤスコは刑事ドラマのノベライズコーナーから何冊もシリーズ小説を見つけ出し、「じゃあ、またね!」と、貸出カウンターへ向かいました。
ノリオもにっこり、エイコ達に会釈してからエイコ達のテーブルを離れ、急いでヤスコについて行きました。
「借りて帰ったってことは、返しに来るってことよね・・・」サキコは、ややこしいことにならななければいいがと、首をすくめてエイコとヒロコの同意を求めるように目くばせしました。
「大丈夫大丈夫、私たちだって、今日はたまたまだし、今度宿題やるときには、よかったら、私のうちに集まらない?」ヒロコは次の宿題会の提案。
エイコはというと、合唱における度胸も満点の付属中の女王ヤスコが、県大会の別れ際に、「ノリオを独占したりしない」とかなんとか、殊勝なことを言ってたくせに、しっかりノリオを引き連れて、エイコ達のお気に入りのテリトリーに現れたことに、敗北感というかなんというか・・・(女王ヤスコ、あなどりがたし!数学の実力まで負けて、ちょっと、私の立つ瀬がないんですけど!)
合唱コンクールも敗北、数学も負けてるっぽい・・・!?
エイコのなりふり構わない変顔魂、数学にもさく裂しそうです・・・?
(なによ!試験前に『刑事○○』などという娯楽本を3冊も借りるだなんて、余裕ぶっちゃって!!かっこよすぎる・・・。私はどうせ凡人よ、ガリ勉してやるぅ・・・!!)
部活だけでなくやっと勉強する気になりそうなエイコ?娘の不勉強を心配するエイコの母親が聞いたらめっちゃ喜びそうな展開。
ヤスコさん
いい仕事してますね。