猛暑日にやって来た珍客
文字数 1,937文字
それはそれは暑い夏の日中、
猛暑日と言われた日のこと。
最悪なことに部屋のエアコンが動かなくなり、
汗がダラダラ流れるぐらいに蒸し暑い。
さすがに引きこもりのヒロナリもこれには耐えられず
部屋のカーテンと窓を開ける。
ヒロナリがベッドで横になっていると、
開いた窓からゆっくりと何かが部屋の中に飛び込んで来る。
室内をフラフラ飛び回る謎の生物を、
改めて目を凝らしてよく見てみると、それは蝙蝠。
それからしばらくして、
部屋の中に飛び込んで来たフラフラの蝙蝠は
力尽きてついに床に落ちる。
ただでさえ引きこもり生活で
動くのが億劫になっているのに、
この暑さでさらに動く気を無くしいるヒロナリ。
この事態にもベッドから動こうとはしない。
しかし、しばらくしてまた目線を戻すと、
蝙蝠はやはりまだ同じ場所でぴくぴくしている。
蝙蝠が横で死にそうになっているぐらいは、
確かにどうということはない。
いつの間にか眠ってしまい、
ヒロナリが目を覚ますともう既に夜になっていた。
窓からは夜風が入って来ており、
カーテンがなびき、日中よりはやはり涼しい。
蝙蝠のことなど
すっかり忘れていたヒロナリだったが、
暗い部屋に何かがいる気配を感じ
体をビクッとさせて驚く。
この蝙蝠、夜になり涼しくなったおかげで
少し回復したようで、
日中のようにぴくぴく震えたりしておらず、
ちょっと元気そうに見える。
じっとこちらを見据えている。
しばし対峙するヒロナリと蝙蝠。
じっとりと汗ばむような緊張の空気が流れる。
すると蝙蝠は一旦頭を低く下げ、
羽根をバタつかせて空に舞う。
蝙蝠は二、三度部屋の中を旋回すると
開いていた窓から外へと飛び出して行く。
窓の外、夜空には月が浮かんでおり、
先程の珍客の仲間なのか蝙蝠の群れが飛んでいる。
そしてヒロナリはどんなに暑くても
部屋の窓は二度と開けないと誓う。
数日後、寝ていたヒロナリは
窓をドンドン叩く音がうるさくて目が覚める。
そう思いながら、眠い目を擦りながら
部屋のカーテンを開けてみる。
ゴスロリ衣装の美少女がいた。