ラブ=ディスコミュニケーション
文字数 1,106文字
サラサラと風になびく
太陽光を反射して
キラキラして輝くその姿は
まるで女神みたいだ
白い肌は
まるで透き通るよう
青い瞳
そんな彼女の姿を
僕は遠くから眺めることしか出来ない
校内を移動する彼女を見つけて
その姿を眺めて満足する
それが僕の学校での日課だ
こう言うと
まるでストーカーみたいだけど
そういう訳ではない
偶然校内で、彼女を発見する
そこがゲーム性があっていいんだ
まぁ、そりゃ不自然に
彼女が居る教室の前を通るルートを
選んだりすることはあるけど
断じてストーカーなどではない
と思いたい……
今も校内の渡り廊下で
彼女を発見出来た
今日のゲームに勝利出来たことを
喜んでいるところだ
別に、告白しようとか、
付き合いたいとか……
そんな気持ちはまったくない
潔癖症の僕は
他人と接触することに
嫌悪感がすごい
だから彼女と
手を繋いで歩くとか、
肩を寄せ合うとか……
そんなことも想像したことがない
やはり女神様は
遠くから眺めているのが一番いい
彼女はそのまま
真っ直ぐ進んで校舎に入るのだろう
横に居る友達とのお喋りに
夢中になっている彼女
そんなよそ見をしていたら、
危ないよ?
僕は右に曲がるつもりだから
このままでは僕と彼女は
ぶつかってしまう
僕は立ち止まって
彼女が通り過ぎるのを待つ……
彼女はまだ横に居る友達との
お喋りに夢中になっている
このまま進んでいたら
本当に彼女とぶつかっていただろう
彼女がすぐそばまで来た時、
僕は目を伏せる
こんな至近距離で
彼女を直視するのは憚られる
僕はそのことに
すぐには気づかなかった
そのままだったら
ちょっとぶつかるだけで
済んだだろうけど
不幸にも彼女はそこで
前を向いてしまった……
そんな声をしているんだ……
僕は一瞬そう思ったが
それどころではないことが
起こっていた
僕の唇に
柔らかく温かいぬくもり
彼女の唇と
僕の唇が触れている……
本当にぶつかる直前で
二人して顔を動かしたので
それは甘いキスというよりは
本当に衝突事故に近い
ぶつかった唇が
じーんと痺れてひりひりする
僕はびっくりして
後ろに飛び退く
彼女も驚いた顔で
固まってしまっている
しかも事故とはいえ、
毎日姿を追うぐらいに
好きな相手との
こんな恋愛漫画みたいな、
ラノベみたいな展開
だけど僕は急いで
水飲み場まで飛んで行って、
唇を洗った
口もゆすいだし、
うがいもした
しかしそれでも
ゾワゾワした感覚が残っている
好きな女の子と
キス出来た喜びよりも
潔癖な性癖の方が
勝ってしまったのだ、僕は……
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