4日目

文字数 591文字

「キミは他人に興味がないと言いながら、ボクの存在は素直に受け入れるんだね。どうして?」

「拒否できないと言ったのはそちらですよね」

「それは否定しない。ボクが聞きたいのは、その矛盾が如何にしてキミの中で成立しているか、その心理構造だ。評価の参考になり得るから、あるがままに教えてよ」

「僕の」評価の参考にしたいのか、「彼の」評価精度を向上させるために利用したいのか、その意図は分からない。けれどそれもやはり僕の関心事にはならなかった。

「他人に興味がないからです。貴方が隣に居ようと居まいと、貴方の自由です。僕の願いを拒絶されても、それで構わないですし、評価期間の短縮をお望みなら、それも同様に貴方の自由。僕が自由に願うように、貴方も自由なのです。その意思は誰にも束縛されないし、されていいとも、思わない。貴方が良いと思い行動するなら、僕はそれを否定しない。……もしかしたらこれは、貴方を受け入れていると言うよりも、過度に干渉することを避けているだけかもしれません」

「なるほど、興味深い。キミはやはり矛盾しているね」

「よく意味がわかりませんが」

「他人に興味がないわけじゃない。むしろ逆。自由は最大の許容、相手を信じていないとできない行為だ。キミは人が大好きなんだね。その感覚も無自覚なほど、当たり前に」

僕は僕のことがよく分からなくなった。そしてそのことも分からなくさせるため、願いを重ねた。
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