第１３話

それから夜までコハクちゃんとDMでやりとりした。
好物はオムライスとどん兵衛だとか、血液型はO型だとか、よく邦ロックを聴くとか。

三日月ロックその3。
三日月サンセット。
コハクちゃんに好奇心で髪型を聞いたら、
黒髪セミロングと答えた。
厳格な親によって髪を染められないらしい。

正直少し厳しすぎると思った。
コハクちゃんは親から離れたら赤髪にしてピアスも開けまくると言っていた。
私はというと、ピアスを開けたことはないので反応に困った。
なんか耳に穴開けるって痛そう。
それが私の実直な感想だ。

いじられキャラにされるのがツライとも彼女はぼやいてた。
大人しい性格だからそこをつけこんでややぽっちゃりしたコハクちゃんの体格をいじる発言などが悲しいようだ。

父親の借金問題で大学進学をあきらめようか迷っている様子の彼女。
私は気の利いた言葉を言えなかった。
競馬にのめりこみ、多額の借金を作ったという。
「だから私、馬が嫌いなんです。馬肉食べたいかも」
どこか黒いメッセージも送っていたコハクちゃん。

来月までには死ぬつもりです。
そう彼女は淡々とツイートしたりしてた。
終わらせないよ。
生きてる限り、何かの使命を持って人間は生まれてきたはずだから。
美咲の分まで生かしてあげたい。

私はコハクちゃんとのやりとりを終えた後、スマホの裏に貼ってある美咲とのプリクラを見つめつつ言った。

私、美咲を助けられなかった分全力で病み垢のコを丁寧丁寧ていねいに救っていくよ。
「美咲、私を見守ってて。どこまで死にたいかなんて病み垢のコの心は計り知れないけど彼女たちをほうっておけないんだ」

今日は土曜日だから猫番組がやってる。
保護猫の猫を人気お笑い芸人がかわいがる独特なコーナーが好きだ。
揺れたり震えたりする線で描き続けていくよ。