たんぽぽ

文字数 194文字

コンクリート平野に一面のポリエステルの黒い野バラ
個人の輪郭は薄くぼやけて、まるでドラッグに漬け込んだような自意識で彼らは満員電車に揺られる
社会規範の内側でひしめき合う彼らの人生は脆く逞しい
全てを失ってなお生きる価値を見出だしていたあの頃は過去の資産として、居酒屋の壁に刷り込んでいくのだ

一番の悲劇は、漬け込まれもせず、遠く旅立つこともないあの道端のタンポポみたいなものを言うのだ
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