幾重の朝

文字数 257文字

少年少女のその小さな温もりは
より大きな渦の中でかき消され振りほどかれて
小さな涙とキスの感触だけを残して
あの星空の中に吸い込まれていく

少年少女のその小さな願いは
より荒々しいしがらみの中で誤魔化され手懐けられて
雨も雪も電線も地下鉄の線路も
緩やかに でも確実に 少年少女を分断していく

かつての少年少女の世界は 今少し窮屈になり始めた
だからきっといつか,コーヒーの熱気と共に
静かに微笑みだけを残すだけだろう
そして,ほんのたまにだけ,積み上げた悲しみに栞を挟んで
夜を超えて 優しい朝を迎えるだろう
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