第0008撃「メタ氏、中学に入り再び悪夢の塾通いが始まるが」の巻

文字数 853文字

芝嶋中学に入学して精神的に落ち着いてきた小生に、
「もういっかい潮学園(仮名)に通って勉強しなおして、
高校こそは北野でも(北野高校)目指して頑張りなさい!」
と母は言いました。

小生は小学生の頃、
毎日のように西宮北口の潮学園(仮名)という塾へ通っていました。
潮学園では成績順に、
「S・H・A・B」とクラス分けされてました。

最高のS!(本来はスペシャルクラスの意)
フツーのH!(本来はハイクラスの意)
アホのA!
バカのB!
とSクラスの皆は得意げに揶揄してました。
小生は5年生で入塾したときはHでしたが、
しごかれた結果6年生になると、
S1かS2を行ったりきたりしてたのでした。

中学で再び入塾するときもテストを受けましたが、
もう学力はみる影もなく、
Aクラスに入ることとなりました。
しかしそのクラスで授業を聞いていても、
馬の耳に念仏状態でチンプンカンプンでした。

ましてや皆が一心集中に励んでいるおごそかな教室を、
小生の持病の音声チックが、
「おーんっ……、おーんっ……、おーんっ……」
と鐘でも突いたかのように反響するわけです。

隣の席の生徒にすら届かぬほどの最小音量ではじまり、
これくらいならバレないか、そう大丈夫や!
と次第に音量のつまみがどんどんMAX目指して、
エスカレートしていきます。
全ての授業を終えるとやんちゃな女子連中からの、
「キモいんじゃ!」の連呼を浴びながら、
さも空襲から逃げるかのように、
早足で教室をあとにしました。

自宅の最寄り駅に着くと帰路の途中の
それほど広くもない駐輪場内を
マイチャリをゆっくり走らせながら、
ダミ声の車掌を真似して、
「つーぎぃはー武庫之荘〜、つーぎぃはー塚口〜」
とバカのようにぐるぐると延々周り、
疲れて気が済んだら、
ようやくマイチャリを『特急』に設定して、
見違える速度で一気に自宅へと帰るのでした。

一ヶ月後のクラス分けのテストで、
小生はBクラスへと墜ちました。
この子はもうムリか……、
と母も現状を受け入れたとみえ、
小生はもはや母に怒鳴られることもなく、
塾を簡単に辞めさせてもらえたのでした。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み