第0015撃「メタ氏、漫画家養成通信講座を注文する!!」の巻

文字数 1,187文字

1989年8月も中盤。
久しぶりに児童相談所へ行こうと思いたちました。

小生は小学5、6年の頃にトゥレット症候群を発症し、
服用していた精神安定剤の副作用で、
自分の意思に反して眼球が上を向く、
(つまり白目を剥く!)ことがたびたび起こり、
酷いときには連日続くこともありました。
・毎朝早起きして電車に乗って小学校へ登下校すること。
・放課後は潮学園(仮名)塾へ通い、超難しいテキストばかり解かなくてはならない。
・小生がそれらをこなさなければ、母からの暴言、暴行、虐待をうける。
・トゥレット症候群の音声チックなどで、バカにされ、人目が気になる。
・白目を剥かざるをえない副作用で、視界が見えない。
まとめてみれば三重苦どころか、五重苦くらいありました。
母の手にも負えなくなってきたため、
小学6年生のときに母に市内の児童相談所へ連れて行かれたのでした。
小生を担当した男性の福祉士Kさんは、
とても優しくてキャッチボールなどしてよく遊んでくれたものです。

児童相談所へ通わなくなってからもう何ヶ月も経つ。
Kさんにまた会いたくなりました。
電車に乗って小一時間、ビルに着きました。
事務所の受付で挨拶すると、
たまたまKさんは出勤してるとのことでした。
(予約無しで会えることはほとんどなかったらしい。)
小生の突然の来訪に迷惑だったろうに、
Kさんは快く面談室に通してくれて、
フォークギターを弾いてくれたのでした。

そういえば、中学の夏休みといえば宿題があるはずなのに、
小生にはその記憶がまったく無い。
学校から宿題が出されてなかったか、
小生がやらずに平然としていたかです。
そんな折、週刊少年ジャンプの広告で、
「漫画家養成の通信講座」を知ったのでした。
一括では支払えない金額でした。
そのそばに24回分割払いも可能とあるではありませんか!
毎月のお小遣いからなんとか支払える、と思いました。

まずは資料請求だ。
無料の大量の案内資料はすぐに届きました。
何度も目を通しました。
俄然、ヤル気がでる。
「がんばってぼくの夏休みの課題にするから」
とでも言ったのだろうか。
「こんなくだらんモンにお金なんかつかって…」と言う母を説得し、
なんとか、分割払いで注文しました。

大きな特製バインダー一式で届きました。
素晴らしい!
しかし、小生が毎度やる悪いクセがでたのでした。
それは教材をパラパラと目を通しただけで、
さも練習したかのような気分になり、
あとは机の上にでんと鎮座させておくだけという始末。

その後夏休みが終わって以降も、
教材に付属してるレポートを書いて返送することもせず、
24枚のぶあつい分割払い振込用紙から毎月一枚ミシン目をちぎり、
無駄に泣く泣く数千円支払う小生をみかねた母が、
販売先に電話して頭を下げ、
小生がべたべたさわった教材一式をそっくりそのまま返品し、
残額を支払わなくてもいいようにしてくれたのでした。

続く。果てしなく続く……。
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