(四)(了)

文字数 315文字

 スタジオでは二十二時の時点で寒川が降板し、中堅の酒田が交代で登場していた。
 改正銃刀法のポイントについて番組内で七度目の解説を酒田が行っていたとき、再び衆議院の議場と中継が繋がることになった。
 新屋が呼び出すと、小波渡記者が興奮した声色で「ついに可決です」と伝えてきた。
「一部有識者から『世紀の悪法』とまで言われた改正銃刀法がついに本国会、衆議院本会議で可決・成立しました。朝九時から始まった審議は伸びに伸び、二十三時四十分、ようやくこれで決着がつくことになりました」
 その音声が聞こえると、酒田解説員は「ああ」と声を上げた。
「言っちゃいましたね。それは電波に乗せてはいけないワードですよ」
 そうつぶやいて酒田は苦笑した。

(了)
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