（二）－１６

　そういったことに不満を抱える人が増えているのが今の社会の現状です。特にトリクルダウンを狙った格差容認の経済政策は二〇世紀終わりから今までを通じてずっと政府民自党の一貫した政策方針でしたから、それに対する怒りやマグマがだいぶ蓄積している訳です。そのおかげで地方の治安は昔ほど良くはなくなっており、人々の不満がテロとなって現れきつつあるのです。そしてそれに対応するために、今回政府は銃刀法を改正しようと法案を作ったわけなんです」
「なるほど。国内情勢の悪化というのがあるわけですね。ところで国の外ではどうでしょうか……、あ、少々お待ちください、今国会の方で動きがあったみたいです。……、中継に切り替わりますでしょうか」
　新屋が見つめるモニターの画面が切り替わり、国会議事堂内の様子が写だされる。

（続く）